(1)マイケルソンの実験結果の解釈
マイケルソン、モーレの実験の節で記載したように、誰もが絶対静止エーテルの存在を確認できるだろうと、すなわち同一地点から地球の進行方向と水平方向に発した光線に、位相差(ドップラ効果)が生ずるはずであると考えていた。しかし結果は 事前予測とは全く異なり全く位相差は生じなかった。そのため、当時の科学者たちは様々な見解を提案する。主なものを記載すると、
@ エーテルは絶対静止ではなく、地球の移動とともに引きずられるのである。
A エーテルは絶対静止で、進行方向に対し長さが短縮されるのである。
B 光速こそ不変であり、光速度不変の原理(時空の変化)を採用すべきである。
C エーテル中では空気中の音波と異なり、光波の位相差(ドップラ効果)は生じない。
など。
<注>ただし上記Cは、本書光理論による解釈。
以上のような様々な見解が存在したが、現在では、AとBの光速度不変の原理が採用されている。しかしそうではないという意見も根強く存在する。
(2)ハッブルの発見の解釈
前記したように、ハッブルは星の観測を続けている際、遠方の星ほど波長が長くなるという現象を発見した。 ハッブルの観測結果は極めて信頼度が高く、そのデータからは「遠方の星ほど、波長が長くなる(赤方偏移が生ずる)」とい見解は疑う余地がない。しかし何故波長が長くなるのかという解釈には、これまた多くの意見があった。
@ 遠方からくる光ほど宇宙空間の塵にエネルギーを吸収されるためである。(ハッブルの意見)
A 光といえども長距離を伝播してると疲労するのである。「疲れた光説」(ツビッキーの意見)
B 遠方の星ほど高速で遠ざかっており、光のドップラ効果によるものである。
C 空間そのものが膨張しており、その分時代が新しいほど波長が長くなるのである。
現在では膨張宇宙論が主流になっているため、BとCが支持されているが、空想的な部分が多く、また決定的な証拠もないため、反対論者も多数存在する。
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