目次、記録 宇宙の真理  再現性の法則 宇宙の大気 大自然の秘密 古代ギリシャ哲学 エーテル仮説 マイケルソンの実験
分割/不分割の問題 熱力学  エントロピー 空洞輻射 プランクの公式 公理系 次元と単位 重力定数の研究
未知なる粒子  プランク単位系  ボルツマン定数  重力 光の転生 電気素量の算出 ボーアの原子理論 光の正体
ビッグバンの困難  相対性理論の誤解  元素の周期律表  一歩進んだ宇宙論 電磁気の歩み 電磁気基礎知識 マクスウェル方程式 電磁波は実在しない
回転軌道の法則  赤方偏移の真実 周期律表の探究  周期律表正しい解釈  真偽まだらな量子力学 波動 宇宙パワー 
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ビッグバン理論の誕生 
科学的根拠
宇宙の歴史 
矛盾と疑惑 
ビッグバン理論が疑似科学である事の証明    


13 ビッグバン・モデルの困難

 ギリシャ哲学の章で記述したように、宇宙創造に関しての思弁は多種多彩な論理が展開されてきた。そして20世紀に入るとエドウィン・ハッブルにより、遠方の星ほど光の波長が規則的に長くなることが明示された。それを契機に世界的な宇宙創造論が過熱してくる。20世紀初頭に於いては静的宇宙論が常識的に広く公認されていた。しかしハッブルの法則の発見後、宇宙は拡大しているのではないかという膨張宇宙論が説かれるようになる。
 一方定常宇宙論者も現れ、両者の間で激しい論争が繰り広げられることになる。その後の観測事実から現在では膨張宇宙論が主流の座をしめているが、その理論展開にはかなり空想的、恣意的、疑惑的な部分もあり、反対派も少なくない。しかし膨張宇宙論に代わる、より正しそうな理論も存在しないため、現在に至っているが、いつ覆されても驚くことではない。

13、1 ビッグバン理論の沿革

13、1、1  ドップラーの観測 
 1842年オーストリアのドップラーにより、光の色(波長)の異変が観測される。彼は2重星(恒星が二つある系)を観測している際、光の色が変化するのに気付く。そして「2重星の着色光に関して」という論文で、ドップラーの原理を説明した。その中で、エーテル及び空気の振動が、実際人間の目や耳でどのように感受されるかを調べる必要があると述べている。そして、現実として水面の波の感覚が寄せてくる波に向かって進む場合は短く、反対に移動する場合は長くなることを説明している。
 また1845年には、ボイス・ロバートが停車場で静止している観測者に対し、汽車が近ずいて来る際には音が高く、遠ざかる時の音は低くなることを実証した。光に対しても同じような試みをしたがその実証は困難であった。


        図:13−1 波のドップラー効果

 図に於いて、空気中を伝わる音波の速度(v)は、観測者及び音源の速度に依存せず常に一定である。
(a)図では音源も観測者も静止しているので周波数の変化は生じない。
(b)図では観測者が接近するので周波数が増す、即ち波長が短くなる。
(c)図では音源が観測者に接近するので、この場合も(b)と同様周波数が増し、波長が短くなる。
(d)図では観測者が遠ざかるので周波数は減少し、波長は長くなる。
 以上から分かることは、
(1)観測者に対し音源が近付くときは、波長が短くなる。
(2)観測者に対し音源が遠ざかるときは、波長が長くなる。
 このことは、次のように言い換えることが出来る。
(3)観測者と音源が互いに接近中は、観測者に対する音波の速度は速くなる。即ち実際に空気中を伝播する音速は同じであるが、観測者から見て音源が接近してくるため音速は速くなる。
(4)観測者と音源が互いに離れて行くときは、観測者に対する音波の速度は遅くなる。
13、1、2 マイケルソン、モーレの実験 
 19世紀中ごろ、エーテル仮説が一般にも認められるようになってきた。しかし、謎の部分も多く存在し、マックスウェルなどは「自分の提唱した電磁理論を確実にするには、絶対静止のエーテルを実証する必要がある」と述べている。
 そのような時期、1885年、マイケルソンとモーレが、マックスウェルが指摘した絶対静止のエーテルの存在を立証するため、大規模な実験を行う。
 この実験は、太陽の周りを公転する地球の速度が xxkm/秒 と高速であるのを利用したもので、進行方向の光線と横方向の光線とを同時に放射した際、鏡に反射して同一地点に戻ってきた光線に位相差が生ずるはずであり、その位相差を測定すればエーテル風を算出可能であるというものである。詳細は、エーテル仮説の章で記載。
 しかし、その結果は大方の予想に反し位相差は全く生じなかった。その理由に対し、マイケルソンはエーテルが地球と伴に移動するためだろうと説明する。ローレンツは地球の移動方向に長さが短縮するのだと説明し、アインシュタインは、時間や長さが変化するのだと相対性理論を展開する。現在では、相対性理論が正しいとみなされているが、矛盾点も多数存在し本当に正しいのか疑問を抱いている研究者も少なくない。
 この観測事実は、光源である星の速度により光の波長が変化することがないことを確実に示しており光波は音波と異なり、光源の速度によりドップラー効果が生じないことを明確に実証したものである。即ち、この実験から、同一時間で光波は異なった距離を移動したのであるからその波長に位相差が生じて当然である。しかし実験結果は位相差が生じなかったのである。このことは現在正しいと公認されているビッグバン理論における光のドップラー効果(赤方偏移)の解釈は誤りであることを立証している。にも拘わらずビッグバン論者は、この誤った認識を基礎原理として理論を構築し、自分達の理論を正当化しようと企てており、その結果とても科学的とは言えない「捏造してると言われてもしかたのないよな理論」が次から次えと考案されている。
13、1、3 特殊相対性理論
   アインシュタインは1905年、光速度不変の原理と特殊相対性原理の2つの基本原理に基ずき、特殊相対性理論を公表。前記のマイケルソン、モーレの実験結果を時間と空間を、遅らせたり短縮することで理論的に解明し、時間と空間に対する新概念を提唱する。
 しかし、この概念は当時「光とはエーテルを媒体とした波である」と公認されていたので反論も耐えなかったようである。特にその後「光は波でもあり、粒子でもある」というとても科学的とは思えない曖昧な表現が用いられており、色々な観測事実を説明する際、粒子として取り扱うと都合のよい時は粒子説を用い、都合の悪いときは波動説を用いるという、二枚舌ともいえる言葉を採用している。即ち、光が波であるなら光速度は一定であるのは理解できるが、粒子と見做した場合、光は色々な速度を有するのは当然である。にもかかわらず、光子は質量が無いから光速度以外とり得ないのだという都合のよい原理を明確な根拠もなく定めている。このような曖昧な論理がほんとに正しいのか疑問である。
  (1)光速度不変の原理 
 <<光の速度は、光源の速度によらず一定である。また、観測者の速度によらず一定である。>>
 観測者が静止しており、高速で接近してくる光源と遠ざかる光源が同一場所で、同時に発した光の速度は、観測者から見て同じ速度であり波長の変化は生じない。
 遠方の静止した恒星が発した光は、地球がその恒星に近ずく時期と、遠のく時期(半年後)とに関係なく、光の速度が同じであり波長の変化は生じない。  即ち、光源も観測者も等速直線運動をしている限り、その速度の相違に関係なく光の速度は常に同一であり、且つ波長の変化は生じないということである。
  (2)特殊相対性原理 
 <<全ての慣性系に於いて、その物理法則は同形である。>>
 大地に固定された実験室で行なった場合も、高速で等速運動している電車の中で行った結果も、力の法則や電磁力の法則などの物理法則は、全く同じように成立する。
13、1、4 一般相対性理論 
 特殊相対性理論は慣性系(等速直線運動している系)に対してのみ適用され、加速運動している乗り物、重力場が存在する空間などは考慮されていない。1915年アインシュタインはそのような空間での相対性理論を構築する。
(1)ニュートンの重力理論 
  ニュートンは、太古の時代からしばしば引用されてきた「地球の裏側の人やものは何故落下しないのだろう」と言う根強い疑問を、正しい解釈のもと科学的に明晰化した。(アリストテレスは地球中心説という誤った解釈を施し、落下しない理由を説明した)。 即ち、月でもリンゴでも全ての物質には互いに引き合う力が存在することに気付き定式化した最初の人である。そしてそれを法則として構築していく。
  F=G・(M1・M2)/r 
   ここで、F:力 。G:重力定数 。M1、M2:物体の質量 。r:物体間の距離 。
(2)アインシュタインの重力理論 
 ニュートンの重力理論は個々の物質間に関する法則である。アインシュタインは宇宙全体に対し、ニュートンの法則を土台として考察していく。その当時は、「宇宙は大局的には、静的で永遠である」と信じられていた。又、宇宙論者の殆んどは「宇宙には特別の場所は存在しない」という宇宙原理(コペルニクスの原理とも言う)を採用していた。
それ等を根拠に理論を展開していくと、
(a)宇宙が有限の場合は、重力は中心に向かって働くのであるから、宇宙は徐々に収縮していく、ということになり静的宇宙に反する。
(b)宇宙が無限の場合は、重力はどの方向に対しても均等に働くことになり、静的宇宙は維持される。
(3)宇宙定数 
 上記(a)で、静的宇宙を維持するには、重力に抗した斥力を付け加える必要がある。そこで彼は、ニュートンの重力方程式を相対論的に変形し、且つ宇宙定数:Λ(ラムダ)を加えたアインシュタインの場の方程式を1915年導入した。  この“Λ“を追加することで静的宇宙を維持することが出来るが、宇宙の大きさ、全質量や全エネルギー、重力の原因などは不正確であり、あまり信頼できる方程式とはいえなかった。
13、1、5 膨張宇宙論モデル
   その当時、宇宙モデルを考える際、基準となる指標には次のものがある。
・空間は、平坦か、閉じているか、開いているか。 
・物質の量はどの程度か。
・放射の量はどの程度か。
・宇宙定数はあるのか。 
(1)フリードマンのアイデア 
 フリードマンは、1922年アインシュタインの方程式から膨張宇宙を表わす方程式を提出し、宇宙時間に対して、宇宙の変化に関する三つの状態を考案する。
a)周期的モデル 
 宇宙は100億年間隔で半径が、0から拡大し最大値Rになり、また縮小に転じそれを繰り返しているというアイデア。
b)半無限モデル
   宇宙には始めがあり、空間ゼロの宇宙が創造され、その後無限大に拡大するというアイデア。
c)無限モデル 
 無限に大きい宇宙が縮小してきて、最小半径がRとなると拡大に転じ、再度無限に広がるというアイデア。
(2)ルメートルのアイデア 
 ルメートルは、1927年に膨張宇宙という新しいアイデアを提唱した。彼は宇宙線こそが宇宙の起源に起きた爆発の名残であると言う。また彼は「宇宙の卵が爆発し現状の宇宙が創造された」というアイデアを好んだ。

  13、2 ビッグバン理論の誕生

  13、2、1 エドウィン・ハッブルの法則 
   1929年エドウィン・ハッブルは、太陽を中心として遠方の星ほど赤方偏移が距離に比例して大きくなることを観測する。その後この現象は光のドップラー効果ではないかと解釈され、ハッブルの法則として定着する。このことによりこれまで静的と信じられていた宇宙が、膨張しているのではないかという膨張宇宙論が浮上してくる。
 v = H・D  (ハッブルの法則)
ここで v:星の速さ、 H:ハッブル定数、 D:太陽から天体までの距離 
又、宇宙の年齢に関しては、爆発後今日まで等速で膨張したと仮定した場合、天体までの距離を速さで割ればよいから容易に算出できる。 
 T= D/v = D/(H・D) =1/H
  ここで T:宇宙の年齢
 ハッブル自身はこの法則を光のドップラー効果とは解せず、遠方の宇宙では原子の振動も見かけ上低下するためか、光の伝播が長い距離ほど宇宙の塵にエネルギーを吸収されてしまうためだろうと述べている。
<私見>ハッブルのこの分析は科学的で深遠で、筆者好みの解釈で大変興味深い。現在の人類科学は何故、この面からハッブルの法則を究明しようとしないのか不思議である。膨張する空間は想像的な面が多く“おとぎ話”の世界のようで、私好みではない。
 また暗黒物質の存在を最初に予言したツヴィッキーは、銀河から出た光は宇宙空間に在る重力等のため少しずつエネルギーを奪われ、光速は不変であるから、その分波長が長くなり赤方偏移が生ずるのであるという「疲れた光説」を解く。ツヴィッキーの考え方は科学的に未解決な課題を究明するアプローチとして非常に優れた考察であり、支持者も存在した。因みに筆者もその一人である。
13、2、2 ガモフの膨張宇宙 
 ハッブルの法則の発見により、フリードマンとルメートルの膨張宇宙に関する論文が脚光を浴びるようになる。  一方、1946年ガモフは原爆実験の映像を見て、宇宙も小さな塊りが大爆発を起こし拡大した結果、現在の宇宙が創造されたのかもしれないと想像し、宇宙膨張論を公表する。これがビッグバン・モデルの始まりといわれる。
 彼は、宇宙の初期は空間の一点に物が集中していたのではなく、空間そのものが小さくその内部に全ての物が押し込められていたのだと言う。そしてその内部は高温高密度で、電荷はなく全てのものは中性子から構成され、大爆発が生じた瞬間から空間が膨張し、温度が徐々に下がるのに従い、中性子は陽子と電子に分裂し、さらに結合などが繰り返えされ現存する原子が創造されたのだと主張する。その際、現在知られている普遍定数(光速、重力定数など)は全て不変であるとして考察しており、時間や粒子が時代によって長くなったり短くなったりするのかは述べていない。これを三人の科学者アルファ、ベーテ、ガモフの頭文字をとって、α、β、γ理論と呼ぶ。
13、2、3 定常宇宙論 
 1948年、ホイル、ゴールド、ボンデイ、の三人の科学者により「定常モデル」が提出される。膨張宇宙という空想的なアイデアに対し真っ向から反論する。
 この説は、静的宇宙、宇宙原理をそのまま受け継いだもので、宇宙には始めも終わりもなく、温度も密度も永遠に不変で定常状態が維持されるというものである。しかしハッブルの法則から宇宙の膨張は認めており、その原因は真空から物質が湧き出しているからであると説明する。

13、3 科学的根拠 

   以上説明してきたように、その当時の宇宙創造論に関しては単なる想像的なアイデアが多く、あまり科学的といえるものではなかった。科学的な点といえばハッブルの法則だけで、これは多くの観測事実からかなり信憑性の高いものであった。その解釈も音のドップラー効果より類推でき「遠方の星ほどより高速に太陽から遠ざかっているに違いないという考え」は、極めて妥当なものである。
 しかし膨張宇宙論を科学的に尤もらしく説明するには、ハッブルの法則だけでは脆弱で、更なる確かな裏付けを必要とした。ガモフ等は、宇宙が爆発した科学的根拠として、宇宙の初期の状態、元素の存在比、宇宙の温度などに関し尤もらしい仮説を提出する。
** ここで気になる点が一つある。それは相対性理論を正しいと認めるならエーテルの存在は否定されていたのである。となると光の伝播に対し単純に音の伝播と類推することは誤りであることになる。又マイケルソンの実験から星の速度の相違により光の波長の変化が生じないことは立証されている。即ち、近隣の星でも、遠方の星でも星の速度の相異により赤方偏移などは起こらないのである。赤方偏移の原因は別にあると見做すべきだろう。それにも拘わらず、遠方の星ほど高速で遠去かるという解釈が正しいとされている。膨張宇宙論における基礎的な法則の解釈が誤ったまま、100年後の現在に於いてもその誤りを指摘する者は僅かしか居ない。それでよいのだろうか。**

***
 <人類科学は何故同じ過ちを繰り返すのだろうか>
 現在人は、地球が公転し自転していることをよく知っている。慣性の法則も知っている。したがって地球の中心が宇宙の中心で無いこともあたりまえの事として理解している。しかしガリレオの時代には地球の中心が宇宙の中心であることがあたりまえだったのである。現代人から見ればあたりまえの事もその当時の人々にはあたりまえでなかったのである。
 私はマイケルソン、モーレの実験、その他色々な観測事実から高速で移動する物体が放つ光波が赤方偏移など生じないことをあたりまえの事として理解している。しかしビッグバン論者たちは、赤方偏移は光のドップラ効果だと信じており、それがあたりまえだと錯覚している。このことは昔の天動説論者が地球が宇宙の中心であると誤った解釈をしていたのと全く同じである。  即ち、惑星の公転軌道に周転円とか離心円などが存在しないように、長さや時間が長くなったり短くなったりする、そんな馬鹿げたことはないのである。
***

13、3、1 宇宙の時間と空間 
 ガモフらの仮説では初期宇宙に於いて時間や空間がどうだったのかは、あまり明らかにしていない。空間の内部は非常に小さく高温高圧の火の玉であったと考えていたようである。しかしその具体的な数値に関しては尤もらしく説明するため、曖昧な概念が用いられており容易に操作可能であった。そのため爆発により粒子が飛び散ったとするのではなく、空間が膨張したのだと説明している。このほうが人を説得するには都合がよかったのだろう。なにしろ空間だけが膨張した際、その中の粒子や物差しがどのように膨張収縮したのか検証することなど不可能である。したがって都合のよいように言葉巧みに造作できるのである。
 また火の玉の外の空間に関しては明言を避けている。我々の知る限り、火の玉であり、風船の膨張であれ必ず外の空間も存在しているし、体積内部の中心部も存在する。初期に於いては時間も空間も無く中心も無いと言うのは嘘である、分からないと言うべきである。時間がなければ始まるための時間さえ無いはずである。風船が膨張する際も外の空間の気体の状態に影響される。宇宙が膨張する際も、外の空間を説明出来なければ欠陥理論で、信憑性の低い説だと言われても仕方ないだろう。外の空間が無いのであれば、その無い理由を説明すべきである。
 ビッグバン理論では、極小の火の玉の空間が爆発を起こし、空間自体が膨張を始めたと解釈することでハッブルの法則の赤方偏移を説明し、その結果として粒子(星)同士も離散するのであると言う。その際基準となる尺度は現在国際的に認められている定数が用いられている。即ち、光速、プランク定数、陽子の大きさ、電子の質量、電荷、その他多数が使用され、宇宙の年齢に関係なく不変であることが前提条件である。このことは、遠方の星も、近隣の星も宇宙の状態が同じであるという多数の観測事実から、正しいと見てよいだろう。しかし空間自体の膨張を直接観測することなど現実問題として不可能である。また星と星との空間は広がるが、物体と物体との空間は広がらないというのは、二種類の異なった空間が存在することになり、明らかに事実と異なる。更に言えば、原子核と電子、原子と原子などの間にも空間は存在し、鉄で出来た物差しでも宇宙の膨張と共に拡大し、長さの基準値そのものが変化してしまうことになる。更には爆発した宇宙には中心が無いと言う。風船が拡大する際も風船の中心は存在する。こんなことは子供でも分かる。
 以上のような複数の欠陥や疑惑があるため、ビッグバンは単なる空想論だと感じている理論家も少なくない。 (私にはビッグバン理論は、浦島太郎か、かぐや姫のおとぎ話を、科学的であることを主張するため、最新の科学理論や数式を駆使して、尤もらしく正当化しようと企てているようにしか見えない。そのような行為が現代においても続けられている。)
13、3、2 水素とヘリウムの存在比 
 宇宙の元素の存在比率に関しては、その当時かなり正確に観測されていた。 下表に炭素(C)を1とした際の存在比を示す。 




  表13−1:宇宙における原子の存在比 

 元素  記号  存在比
 水素 [H]  10000
 ヘリウム [He] 1000
 酸素 [O]  2 
 炭素 [C] 1 
 其の他 [ ]  1 

   

     この表から分かるように、宇宙にある物質の殆んどが水素とヘリウムである。ガモフ達は、その当時知られていた原子核反応の科学情報から高度な数学を駆使して、水素とヘリウムの存在比を導き出すのに見事に成功した。これは前記の“膨張する空間”という捉えどころがなく質がよいとは言えないアイデアとは異なり、賞賛すべき画期的な功績である。しかし、ビッグバンの批判者達からは、既に分かっている数値に合わせるよう、計算や理論を細工したのではないかと非難され、簡単に承認されるものではなかった。また、ガモフたちが行った方法以外に原子の存在比を説明する真に正しい方法が存在するとも考えられる。ただ現在の知識ではこの問題を解くのは殆んど不可能に近い困難な仕事であり、無理やりどれが正しいと決めつけてはならない。
 その他の重い原子核の生成に関しては、彼らの理論からは説明することが出来ず、ビッグバン理論の大きな弱点となる。
13、3、3 宇宙の進化 
   宇宙の初期において、高温、高圧エネルギーのスープがあり、そこから水素やヘリウム原子がどのように創造されてきたかは、次のように説明している。
(1)爆発以前 
 高圧、高温の厖大なエネルギーに満ち、空間内は中性子、陽子、電子が混沌としており原子などが創造できる状態ではなかった。
(2)始めの五分 
 空間の膨張と共に、温度が徐々に下がりだす。元素合成が可能な温度は約1兆度以下、100万度以上でなければ起こらない。彼らはその時間を1秒から300秒と算出した。即ち、この時間内に現存する宇宙内の原子の殆んどが創造されたことになる。
(3)プラズマ空間 
 元素合成された水素、ヘリウム、電子などは100万度近辺の温度においては互いに結合することは出来ず、バラバラの状態で飛び回っていた。このような状態をプラズマと呼ぶ。プラズマの中では光さえ粒子に阻まれ散乱していたと言う。このプラズマ状態を脱出するには、温度が3000度に下がらなければならない。彼らはその期間を爆発後30万年と算出している。
(4)背景放射の予言 
 プラズマ状態を脱すると、それぞれの粒子や光は自由に宇宙空間内を飛び回ることが出来るようになる。そのような時期を“宇宙の晴れ上がり”と呼んでいる。そしてこの時期に発した光が現在でも残っており、その光が観測出来れば、ビッグバン理論の正しさを立証できるだろうと彼等は予言している。
   更に、ハッブルの法則とその当時知られていた銀河までの距離から宇宙の年齢を18億年と算出した。また爆発後空間は膨張し波長も伸びる為、温度も低下するだろうと考え現代における背景放射の絶対温度を5度とし1948年に公表する。
   一方1941年頃、空洞輻射理論から導出した銀河からの散乱光により、星間空間での絶対温度は2〜3度であると予測している論文も発表されており、エディントンなどもこの説を支持している。この散乱光モデルはその当時主流であった静的宇宙を土台としており定常宇宙論者にとって有利なものである。
13、3、4 宇宙背景放射(CMB放射)
 CMBを最初に観測したのは、ベル研究所のベンジアスとウィルソンである。彼等は1964年頃、アンテナで伝播を受信する際入ってくる雑音源を除去する研究をしていた。ところが正体不明の雑音があらゆる方向から混入し、どうしても取り去ることが困難であった。その後専門の研究チームなどにより、この雑音がCMB放射であることが確認された。
 そしてビッグバン論者の殆んどが、このCMBの発見こそが爆発があった証拠であるとうそぶき、散乱光モデルに関しては無視することで、その正当性を強調している。更に最近では衛星を用いた精細な観測結果などから、現在ではCMB放射がビッグバン後の残光である可能性が高いとされているがとても信頼できる見解ではない。
 CMBの発見後、ビッグバン・モデルでは説明できない深刻な問題が生じてきた。その幾つかを説明しよう。
13、3、5 地平線問題 
 初期空間が爆発後、光速で拡大を続けてきたわけであるが、情報の伝達は光速以上では行われない。となると、空間の両端に対応する二つの領域は互いに因果関係を持たず、その結果温度に揺らぎが生ずるはずである。しかし観測の結果では、どの方角の領域の温度も同じで揺らぎが無い。ビッグバンではその理由を説明出来なかった。
 静的宇宙からはこのような問題は全く生じない。
13、3、6 平坦問題 
 ビッグバン理論では、宇宙の膨張、収縮は内部のエネルギー密度によって左右される。密度が大きい場合は、ある大きさまで拡大後一転して収縮に向かう。この場合は宇宙の幾何学的曲率は正であり閉じた空間となる。逆に小さい場合は、永久に拡大を続け、曲率は負となり開いた空間となる。 そして密度が、大きくもなく、小さくもない特定な範囲にある場合のみ曲率がゼロ、即ち平坦な宇宙が保たれるのである。
 遠方銀河のクエーサーの観測結果からは、かなりの精度で宇宙は平坦性が保たれている。もし爆発直後から均等に膨張をしてきたと仮定するなら、現状のような宇宙の平坦性を説明出来ない。
 この問題も静的宇宙からは全く生じない。
13、3、7 インフレーション理論 
 インフレーション理論とは、「宇宙の膨張は全宇宙時代に均等な速さで拡大してきたのではなく、時代により異なっていたのである」、というご都合主義者に近いアイデアである。このできが良いとは言えないアイデアを採用することで上記の二つの問題を解決でき、めでたしめでたしとなる。
(1)地平線問題に対しては爆発直後の極小の空間において、互いに情報伝達が可能な時期に指数関数的な拡大(インフレーション)が生じ、同一の情報を持った領域が等方的に広がる。インフレーションの後にはハッブルの法則に従い膨張し、現存する等方的に一様な温度分布を説明できる。
(2)平坦問題に対してはインフレーション期において、空間が急激な膨張をした結果、曲率を持つどんな領域も平坦化され、その後ハッブルの法則に従い膨張し、現在の平坦性が保たれているのであると説明する。

13、4 宇宙の歴史

 
 以上のような歴史的過程から、ビッグバン論者の間では大体において、現在次のような認識をもっているようである。しかし時代と共に内容が修正されており、理論家の間でも多少意見の相違がある。
 また信頼できる情報はほんのわずかな項目だけで、殆んどは推測だけで明確な科学的根拠のあるものは、皆無に等しい。かりに有ったとしても基礎となる理論自体が怪しいありさまである。
13、4、1 宇宙が始まる前 
 基本的には分からないとしている。この見解は正直である。実は膨張宇宙そのものが存在するのか分からないと言うのが正直なのである。 その他、時間も空間も無かったとか、高温、高エネルギーの素粒子からなっていた等、意味不明な思弁が多い。
13,4,2 宇宙の年齢
 ハッブルの法則と地球(又は太陽)から星までの距離から宇宙の年齢を算出することが出来る。問題は星までの距離が正確に観測できなかった点にある。そのため新たな観測事実が発見されると宇宙の年齢も修正が施された。
(1)プランク時代 
 宇宙誕生直後で、どのような状態か推測することさえ不可能であった。たぶん力そのものも混沌であったと思われている。
(2)力の大統一時代 
 重力、電磁力、強い力、弱い力が分離される。 
プランク時間(10−43 秒)から10−36 秒の間で完了する。
(3)インフレーション時代 
 宇宙創成から10−36 秒が経過すると、インフレーションによる加速膨張がおこる。0.2秒後にインフレーションは終了する。
(4)原子核の生成 
 現存する水素、ヘリウムの原子核の殆んどがこの時期に生成される。その時間は約5分と推定されている。 
(5)プラズマ時代 
 生成された原子核や電子は、高温のため結合することが出来ず、混沌状態であった。光さえ飛び回ることの出来ない空間である。そのような状態が約38万年続く。宇宙の暗黒時代とも呼ばれる。 
(6)銀河形成時代 
 宇宙誕生から38万年たつと、宇宙の温度も3000度以下となり原子核や電子が結合可能となる。この時を「宇宙の晴れ上がり」と呼び、光も空間を自由に飛びまわることが出来るようになる。
 ビッグバン理論では、最初はとてつもなく大きい原子の雲が創造され、そこから超銀河団が形成され、それが銀河団に分裂し、更に銀河へと分裂したのだろうと説明している。
(7)現在 
 現在は、宇宙誕生後約137億年とされている。
 ガモフの計算では18億年とされており、その後宇宙の年齢が7〜8倍も修正されている。

13、5 ビッグバン理論の矛盾と疑惑

   これまで、複数の箇所でビッグバン・モデルの疑惑や弱点について述べてきた。ビッグバン理論には、そのような疑惑や矛盾があまりにも多いのである。ここでは、その中のいくつかを説明しておこう。
13、5、1 膨張する空間 
 本書では慣性系同士の放った光は、例えその速度差が光速に近くとも等速直線運動である限り赤方偏移は生じないのであることを、マイケルソン、モーレの実験などから立証されていることを説明してきた。また、3月と9月では地球の公転速度は逆向きであるから、時期により恒星からの光りの波長に変化が生じ屈折角などが異なってしまうはずである。しかし現実にはそのようなことが無いことから、速度差が異なっても赤方偏移など生じないことは明らかである。
 それに対しガモフは上記のことを知ってか知らないか分からないが、爆発後粒子が飛散するのではなく、空間が膨張するのであり、その結果粒子同士が離散するのであるというアイデアを採用する。このアイデアは人類科学を騙すには最高の部類に価する。なにしろこのアイデアに研究者達は、50年以上振り回されているのである。
 彼は多分、粒子同士が離散しているとすると簡単に嘘がばれてしまうと感じたのだろう、そこで空間が膨張するというアイデアを思いつく。これならそう簡単には見破れない。何故なら、膨張する空間など誰も直接検証することなど不可能であるから、都合の悪い問題が起きたら、新たに尤もらしいアイデアをでっち上げることなど簡単に出来るのである。
 次に膨張する空間の矛盾と弱点を指摘しよう。
(1)何としても理解できないことは、空間が膨張するとは具体的にどういうことか、何故膨張するのか全く説明がない点である。根拠はハッブルの法則だけである。風船が膨らむ時も空気穴から気体が吹き込まれ、その量により膨張の仕方を計ることが出来る。しかし空間の膨張に関しては、科学的に検証し定量化することは不可能である。
 赤方偏移の起こる原因に関しては「疲れた光説」のような説もあり、他にも複数の原因が考えられどれが正しいか現状では決められる段階ではない。
(2)次に時間も空間も無い状態から、突然何の理由もなく、瞬時に現存するエネルギーや粒子が全て創造されたとし、現代科学で正しいとされている法則(エネルギー保存則)などとは、完全に矛盾している。宇宙創成時のことなど誰にも分かりっこないのだから、何でもありなのである。こんな無責任な科学は地球科学の大恥じである。
(3)更におかしいのは、空間や光波は膨張するが原子や粒子は不変であるという都合のよい解釈である。原子にしても、原子核と電子の間には空間があり、空間が膨張すれば原子の大きさその物が大きくなることは自明である。又太陽と地球の距離も拡大し、50億年では相当な距離になる。
13、5、2 宇宙背景放射(CMB) 
 CMB放射の発見が、ビッグバンを指示する有力な証拠であると、一般には公表されている。そして定常宇宙論ではCMBの説明が出来ないと論じられている。これは事実とは全く異なり、ガモフがCMBを予言する以前に宇宙の温度は散乱モデルとして知られていた。ガモフは宇宙の温度は5度としたが、散乱モデルでは2〜3度であった。現在この温度はかなり正確に測定されており、約2.7度である。明らかに散乱モデルの方が正しいといえる。
 またCMBが発見された結果、ビッグバンでは説明できない複数の問題(地平線問題、平坦問題など)が浮上してきた。定常宇宙論ではこのような問題は生じない。このことはビッグバン理論には大きな欠陥が在る事を暗示している。
13、5、3 インフレーション理論 
 CMBの発見により浮上してきた問題を解決するため、ビッグバン論者たちは新たな作り話を考案する。即ち、空間の膨張の速度はビッグバン論者なら、観測データに合わせて自由に決めてもよいというアイデアである。まさに彼等は神様である。最初に嘘をつくと、その嘘がばれる前に、新たな嘘をつくという行為が続けられている。
 膨張する空間も科学的とは言えないアイデアであるが、インフレーション理論は更にレベルの低いアイデアであるとしか言いようがない。 
13、5、4 結論 
 以上、長々と述べてきた内容から、総合的に判断してビッグバン・モデルが正しい確率は殆んど無いと言ってよいだろう。とはいえ定常宇宙論が絶対正しいとも思えない。宇宙創造を論ずるには、我々の科学はあまりにも準備不足なのである。この問題は、100年1000年かけて一歩一歩前進していくしか方法が無いだろう。どれが正しいかを焦って決めることではない。

13、6 定常宇宙論の復活

   現在は、ビッグバン支持者が主流を占めているが、基本的な発想が科学的とは思えない箇所も多く、いずれは消滅していくことになるだろう。そこで当然定常宇宙論が見直される。その際一番気になる点は、銀河の分布が距離によって、即ち宇宙の年齢によって異なって見えることである。クエーサなどは古い銀河でしか発見されない(この説も近年では修正されている)。このことは宇宙が静的ではないと解釈することも出来る。となると絶対不変とされてきた普遍定数(重力定数、光速など)も時代や方角によりほんの僅かだけ異なることが観測されるかも知れない。

13、7 ビッグバン理論が「疑似科学」である事の証明 

    ここまでビッグバン・モデルがかなり怪しいモデルであることを説明してきた。最後にビッグバン理論が完全に間違いであることを科学的に証明していくことにしよう。現在でもビッグバンに対する否定論者は決して少なくない。またビッグバンを否定する観測データによる証拠や理論も多少は存在する。しかし決定的に反証できる理論ではなくビッグバンに代わる宇宙論が存在しない。観測データによる証拠も信頼性にかけている等の理由によりあまり公表される機会が少ない。そのため現在でもビッグバン理論が指示されている。
 本書では、「見かけの力とは、エーテル大気の抵抗である」とみなすことで、これまでの科学には存在しなかった新しい2つの概念、累積エネルギーと速度座標系なるものを主張してきた(詳細は1章と2章を参照)。ここでもこの概念を利用しよう。
13、7、1 地球中心、不動説が正当化された理由 
   アリストテレスが、地球の中心が宇宙の中心だと言ったことはよく知られている。その理由には幾つかあるがその主なものをあげておこう。
(1)如何なる物も地球の中心に向かって落下する。又は中心から上に向かって上昇する。
(2)色々な観測事実(真上に投げ上げた物が元の位置に戻ってくるなど)から地球は自転していない。
(3)各惑星に対し複数の同心球面などを考え出し、惑星の運行軌道を説明するのに成功した。しかし不当もあった。その後プトレマイオスが周転円などの仮説を採用し運行軌道をほぼ完全に説明できた。
(4)慣性の法則という宇宙真理 
 一方、アリスタルコス、コペルニクス等の太陽中心説を主張する少数派も存在した。しかし、地球の自転を証明する知識を持っていなかったため、地球中心説を覆すことができなかった。まだ彼らは「慣性の法則」を知らなかったのである。
(5) ガリレオは、数多くの実験を繰り返し「物体は外部から何ら力が作用しないときはそのままの運動を継続する」ことに気づいた。これを慣性の法則と呼ぶ。この法則を根拠に地球が自転していても、物を真上に投げたとき元の位置に戻って来ることを証明し、地球中心説を覆す。
(6) しかし地球が宇宙の中心でないとすると「何故地球の裏側に住む住民は、宇宙の中心に向かって落下しないのか」という疑問が浮上してくる。その後ニュートンはリンゴでも地球でも向心力を有していることを証明しこの疑問を解明している。
13、7、2 ビッグバン・モデルが正当化された理由 
 ビッグバン・モデルと地球中心説とは互いに類似性が多いので、これらを重ね合わせて論考を進めていくことにしよう。
 マイケルソン、モーリの実験の解釈 
 マイケルソンの実験では、地球の進行方向への往復距離をRaとし、横方向への往復距離をRbとすると、RaよりRbの方が大きいことが知られている。また光速はどの方向に対しても同一であるから、同一地点に戻ってきた二つの光に時間差が生じるという主張は完全に正しい。しかし実験の結果は時間差が全く生じないというものであった。
 この結果をどう解釈すべきだろうか。素直に解釈すると次のようになる。
(1)観測者は静止し光源(星)が等速直線運動で高速に離れて行く際でも、光の波長の変化は生じない。即ち「光源が等速直線運動のときは、波長の変化(ドップラ効果)は生じない」となる。
 しかしこの解釈は、音にはドップラ効果が生ずることが、理論的にも実験的にも検証されているのであるから、それと類推して考察すると明らかに間違っている。 <この時点においては、まだ累積エネルギー、速度座標系という概念が人類科学には存在しなかったのである。このことはアリストテレスの時代には慣性の法則が知られてなかったのによく似ている>
(2)アインシュタインの解釈 
 前述したマイケルソンの実験からローレンツやアインシュタインは物体の速度により空間と時間が短くなったり遅れたりするというこれまでの常識とは異なった解釈をすることで論理的に正当化するのに成功した。
(3)その結果、(1)の解釈即ち「光源(星)の速度により赤方偏移は生じない」という事実は誤った解釈であると理解される。そのため(1)の解釈は忘れ去られてしまう。
(4)その後ハッブルにより遠方の星ほど、赤方偏移が規則的に大きいことが観測される。この時点においては、(1)の考えは否定されていたので、光のドップラー効果が採用される。そこでハップルの法則が定式化され、それと同時に宇宙膨張論が華々しく展開されていくことになる。この際採用した仮説は、星どうしが離れるのでは無く、空間が膨張するという説である。どちらの場合でもハッブルの式は変わらないのでその相異を見破ることはできない。しかし地球中心説がそうであったように、観測事実とビッグバン理論との矛盾も幾つか生じ、地球不動説で周天円のような奇妙なアイデアが考案されたようにビッグバンでも、その都度不思議なアイデアが考案され宇宙膨張論が正当化されていく。
(5)地球中心説においてガリレオが「慣性の法則」に気付いたように、本書では「累積エネルギー」「速度座標系」なる概念に気が付く。この概念により相対性理論を完全な形で論破する。(14章に詳述) 相対性理論が論破されたからには、(1)の考えが復活する。
(6)次に、本書の新しい概念から (1)に示した「光源が等速直線運動のときは、波長の変化(ドップラ効果)は生じない」ことを論証する。即ち光のドップラ効果の現在の解釈が誤りであることを証明する。
(7)結論:
 宇宙膨張論の前提は、「光のドップラ効果が正しい」ことであり、それを公理として理論が構築されてきたのである。その前提が「偽」であることが証明されたのであるから、当然ビッグバン理論は地球中心説と同様、疑似科学である。

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