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熱素(カロリック)説 | 温度 | |
ボイル、シャルルの法則 | カルノーサイクル | |
熱力学の法則 | エントロピー | |
当量値 | 気体分子運動論 | |
エネルギー等分配則 | ボルツマンの関係式 |
6、熱力学とエントロピー |
ケルビンはジュールの法則における熱と仕事とは等価であり転換可能であると言う観測結果と、カルビーの可逆サイクルでの熱は決して失われることがないというカルビー理論とは互いに矛盾があることを指摘する。クラウジウスは、熱の原理には熱と仕事の等価性(エネルギー保存則)と高温から低温への熱の移動の際仕事が生み出されるという二つの原理があり、これ等の矛盾は「当量値」という形で定式化出来ることを説明する。そしてこの当量値をエントロピーと命名する。 |
6、1 フロギストン、カロリック説 |
熱とは何かという疑問は、大昔から大問題であった。物体と物体とを激しく擦ると温度が上昇する、物体によっては火を出し燃え上がる物もある。また冷たい水と、熱い湯とを混ぜ合わせると中間温度程度のぬるま湯になるが、そのぬるま湯を元の冷たい水と、熱い湯に戻すことは不可能である。熱に関する現象を挙げていたら切りがない。このような様々な現象から十七、八世紀の頃には、熱が移動する原因は熱素という重さの無い基本元素があり、その熱素が物体内部を移動し少量の時は冷たく、多量ある時は熱くなるのだと説明されていた。また物体が燃焼する原因は、物質内部にはフロギストン(燃素)が含まれており、そのフロギストンが物体内から失う過程であるという考えが主流であった。 |
6、1、1 フロギストン(燃素)説 |
ボイル(1627〜1691)は錫と鉛を溶かして出来た混合された金属灰が、もとの金属より重くなることを立証した。彼は様々な熱現象に対し、火と熱とは異なった物質であるという観念を抱いていたので、この現象に対し、火の粒子が金属と化合したためであろうと仮定した。この仮説はゲオログ・シュタール(1660〜1734)によってフロギストンと命名され、ラヴォアジェ(1743〜1794)がこの説を打破するまでの間、100年近く主流の座を占めることになる。 |
6、1、2 熱素説(カロリック) |
我々が感じる自然現象を、重量の側面から観察した場合、岩石や水、気体のような重さを持つ可量物体と、光や熱のように重さの無い不可量物体とに分けることが出来る。ここでは重量を持たない熱の基本的な知識に関し説明しておこう。 |
6、2 熱力学の基礎知識 |
6、2、1 熱力学系 |
6、2、2 温度 |
(1)カ氏温度 |
6、2、3 相転移 |
実在する物体は、気体、液体、固体の三様態を現す。周囲の圧力を一定に保ち温度が高いときは気体、低くなってくると液体、更に低くなると固体となる。 |
6、2、4 内部エネルギー |
ある孤立系の状態を考える際、外界からなんら仕事Wや熱量Qが作用しない場合は、孤立系の内部の状態は変化しない。この内部の状態の全エネルギーを内部エネルギーUと呼ぶ。したがって内部エネルギーは次の式で表わされる。 |
6、2、5 ボイル、シャルルの法則 |
(1)ボイルは下端を密封した細長い管を用いて、その口の開いた上端から水銀を流し込む実験を行い、水銀の量が増すのに反比例して管内の空気の体積が小さくなることから、気体の圧力とその体積との相乗積は一定であるという認識を得た。これをボイルの法則と呼ぶ。 |
6、2、6 比熱 |
(1)比熱の定義 |
6、2、7 カルノーサイクル |
A、熱機関 |
図:6−1 熱機関、カルノーサイクル
B、熱効率 |
6、2、8 熱力学の法則 |
(1)第0法則 |
6、3 エントロピー(entropy) |
6、3、1 エネルギー保存則 |
A、力の衝撃(力積)と保存 |
6、3、2 当量値 |
w.トムソン(ケルビン)は、1847年オックスフォードでジュールと出会った。そこでジュールの法則を知ることになる。ジュールの論文では、「熱と仕事とは等価であり互いに転換可能である」というのである。これは熱が消費されることを示唆している。しかしカルノー理論では熱機関の可逆的サイクルにおいて仕事を生じた際、熱は保存され消失することがないとされており、両者の間に明らかな矛盾があることに驚かされた。
ジュールの精密な実験では、力学的仕事が熱に転換され且つ等価であることを確実に示している。しかし熱が仕事に転換し消失することはこの実験からは明らかでない。また固体中を高温部分から低温部分に熱が伝わる際、力学的仕事が一切生じないことも、ジュールの理論からは説明できない。一方熱素の落下により仕事が生み出される際熱は消費されないというカルノーの仮説に対しても、ジュールの実験結果とは矛盾しており、疑問を抱くようになる。 |
6、3、3 エネルギーの散逸 |
このように可逆サイクルの際の温度と熱量と仕事の関係は定式化できたが、他方不可逆サイクルに対して、ケルビンは次のように考えた。ジュールの理論から、熱は物質ではなく運動であることを認め、固体中での熱の伝導に於いて仕事がなされず熱が失われたように見えるのは、物体を構成する微小粒子の運動エネルギーに転換し散逸したのであって、決して消失したのではない。従って不可逆サイクルとは熱が高温から低温に流れる方向性を持つことを示しており、エネルギーは失われるのではなく、取り戻すことが出来ないだけであると力説する。しかしこのことは単に力説しただけであって証明したのではなく憶測の域を出なかった。 |
6、3、4 エントロピーの定式化 |
クラウジウスによりエントロピー概念が確立され、その後多くの研究者によりその物理的特性や数学的取り扱いが議論されるようになる。そして現在では、概ね次のように一般化されている。 |
6、4 気体分子運動論 |
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