目次、記録 宇宙の真理  再現性の法則 宇宙の大気 大自然の秘密 古代ギリシャ哲学 エーテル仮説 マイケルソンの実験
分割/不分割の問題 熱力学  エントロピー 空洞輻射 プランクの公式 公理系 次元と単位 重力定数の研究
未知なる粒子  プランク単位系  ボルツマン定数  重力 光の転生 電気素量の算出 ボーアの原子理論 光の正体
ビッグバンの困難  相対性理論の誤解  元素の周期律表  一歩進んだ宇宙論 電磁気の歩み 電磁気基礎知識 マクスウェル方程式 電磁波は実在しない
回転軌道の法則  赤方偏移の真実 周期律表の探究  周期律表正しい解釈  真偽まだらな量子力学 波動 宇宙パワー 
ホームへ 前へ 次へ




二つの暗箱 
絶対速度座標系
累積エネルギー

 ホームズは突然話し始めた「ワトソン、君は南アフリカ会社への投資はやめたようだね」。
 私は一瞬驚き、ホームズがいかに優れているとはいへ、人の心の奥底まで見抜くことなど不可能であると思い「何故、そんなことが言えるのかい」と反発した。ホームズは話を続けた。「ここに複数の単純明解な事象があったとする。これ等を順序よく並べて誰でも理解できる一連の文章ができたとしよう。しかし中間に在る事象を取り除き、最初と最後の事象だけを公表した時、誰もその関連性と意味を理解することが出来ず首をかしげるだけである」
 (シャーロック・ホームズ、踊る人形:The Adventure of Dancing Man より)
 現代科学は、この中間に在る複数の事象がブラックボックスになっている。にもかかわらず数式的には正当化しなければならないため、物理的には理解不能な理論や原理が次から次へと考案されている。



2、大自然の秘密 

2、1 潜在空間と顕在空間

 我々人類の優れた特徴の一つに、色々な道具を考案し巧みに使いこなすという点があげられる。同じ水の分子(HO)でも、液体の場合と固体の場合とでは、別の道具を使用したほうが便利であることを自然と学ぶ。例えば池の水を取り出すには、コップやバケツを用いて容易に出来るが、厚く張った氷を取り出すとなると、のこぎりやとんかち等の道具を使用したほうがよく、バケツだけでは役にたたない。このように人類は様々な道具を考案することで不可能なことを可能にしてきたのである。
 前章で大気には、空気(物質)大気とエーテル大気の二種類があり、それぞれ異なった特性を持つことを説明した。これ等は同一の宇宙空間に存在するが、それぞれ異なった特性を有するため、同じ道具を用いていたのでは正しく理解することは、甚だしく困難である。異なった道具を使用することで新しい理解に到達できる。
   そこで本書では、空間は当然一つしか存在しないと考えているが、上記の二つの大気を取り扱う際、理解し易くするため便宜上二つの空間を設けることとする。一つは顕在空間(実在空間ともいう)、いま一つは潜在空間である。
<顕在空間>; 通常の自然界を表現する空間で、星や光、空気や水などの物質体が存在する。空間の場所を特定する道具として、長さの次元を持つX,Y,Z軸の直交座標系が一般に用いられる。その他極座標、n次元座標なども使用される。
<潜在空間>; 主に前述したエーテル大気を取り扱う際に使用する空間で、場所を特定する道具として、速度座標を使用する。即ち、顕在空間を取り扱う際は位置座標空間が便利であるが、潜在空間に対しては速度座標空間を用いないと正しい知識に到達できない。
 速度の二乗はエネルギーに比例することから、潜在空間はエネルギー空間に成っていると見做すことが出来る。

inserted by FC2 system

2、2 二つの暗箱 

 地球中心・地球不動説から、太陽中心・地動説が支持されるまでには長い歳月を必要とした。ギリシャ時代のアリストテレスは、物体を真上に投げた際、必ず投げた位置に落下してくることを根拠に地球の自転を拒否する。
 アリスタルコスは、太陽の大きさが地球よりはるかに大きいことを観測し、そこから大きい太陽の周りを小さい地球が回転するのが自然であると考え地球中心説を否定する。また地球が自転していることも正しく認識し現代に近い宇宙観に達していた。しかし自転しているとすると、地球上では強風が吹きまくり、大地に固定されてない物は空中に吹き飛ばされてしまうだろうという従来からの根強い説を、当時の知識だけでは覆すことが出来なかった。彼はまだ慣性の法則を知らなかったのである。すなわち大きなブラック・ボックスがはばかっていたのである。そのためアリストテレスの地球中心説が長期にわたり支持された。
 16世紀になりガリレイ・ガリレオは、数多くの実験をくり返し、「運動する物体は、何らかの力(抵抗力など)が働かない限り、そのままの運動を続ける」ことに気付いた。この慣性の法則という新概念が地球中心説を覆す根幹となり、人類科学の大きな誤りを訂正することになる。
 本書の冒頭で述べたように、現代科学には物理的に説明されてないブラック・ボックスが複数存在しており、それにもかかわらず目先の実験事実や現象を計算上尤もらしく表現するため、物理的には理解に苦しむような解釈や理論、原理が標準モデルとして採用されている。私は前記のエーテル大気の存在から、これまで気付かなかった、物理的に重要かつ大きな意味を持つ二つの新概念に気付いた。一つは“絶対速度座標空間”いま一つは“累積エネルギー”である。この二つの知的道具を使用することで現代科学では解決不可能であった問題を芋蔓式に解決していくことになる。更には現在正いとされている理論や法則にも欠陥や間違いがあることを指摘する。


 < 新たな真理の発見 >


 ここに記した二つの暗箱(大自然の秘密):累積エネルギー、速度座標空間:を正しく理解しない限り、人類科学は永遠に正しい科学にたどり着くことは出来ないだろう。
 




2,3 絶対速度座標空間(第一のブラックボックス)

 空間内の任意の点を計量する際、一般的には三次元の直交座標系が使用されている。中心点を任意に定め、互いに直交するx、y、zの三軸を規定することで、物の位置、長さ、大きさなどを誰でも共通の認識のもと定量的に観測できるようになる。この座標系において、ある物体の位置に全く変化が無いとき、その物体は静止しているという。単位時間に位置の変化が生じたとき、その動いた距離を速度(単位時間内での平均速度)という。同一速度が長時間続いたとき、その物体は等速直線運動しているという。 数学的には、次のような式で表現する。
 v=s/t  ここで、v:速度。  s:位置の変化。  t:所要時間。
更に、その物体になんらかの力が作用し、単位時間に速度の変化が生じたとき、その変化した速度を加速度という。同一加速度が続いたとき、その物体は同じ加速度場内にあるという。 数学的には、次のように表現する。
 α=v/t  α:加速度。  v:速度の変化
以上が顕在空間で、物体の位置、運動などを記述する最も基本的な方法である。
 それでは次に潜在空間内では、どのような座標系を使用したらより便利かを考えてみることにしよう。前章で、空気大気とエーテル大気の最も大きな相異点は、空気大気が完全に静止していると仮定し、物体が静止している状態、即ち速度が無いとき抵抗力(風)は生じないが、速度を有すると抵抗力を生じる。そしてエーテル大気に対しては、等速直線運動の際は抵抗力が無く、速度の変化が生じたときのみ抵抗力が生ずるのであるということを説明した。
 即ち、空気大気では位置の変化が無いとき抵抗力は無く、一方エーテル大気では速度の変化が無いときは抵抗力も無いのである。故に、上式の両者を類推して潜在空間では、位置の代わりに速度を座標軸にした空間を規定したらより便利かもしれないという発想がごく自然と浮かぶ。このような座標系を本書では、絶対速度座標空間と呼ぶことにする。


   図2−1: に於いて、原点Oは顕在空間での絶対速度がゼロを示し、絶対静止状態を表わす。星A又は粒子などの物体は、顕在空間に於いて等速直線運動をしている限り、潜在空間では静止状態であり、加速度運動が潜在空間では等速運動となっている。即ち物体に力が作用し、速度の変化が生じた時のみ、潜在空間ではその物が移動するのである
 また光に関しては、いかなる光も潜在空間では図中の光の円周上にある。何億年も遠方にある星が放つ光も等速直線運動を継続している限り、潜在空間では何億年も静止状態であるといえる。以上から大切なことは、速度座標での最大値が光も物質も光速であるということと、座標系の原点が絶対速度=0、即ち絶対静止を示しているという点である。
 更に考察を進めると次のことが分かってくる。 顕在空間では空気大気中を飛ぶ物質と伝播する音とがあるように、エーテル大気中では飛ぶ物質と伝播する光とがあるのである。このことは、顕在空間(空気大気中)で静止した物質から発せられた音波には波長の変化(ドプラー効果)が生じないのと同様、潜在空間(エーテル大気中)で静止した物質(顕在空間では等速運動している)が発した光には波長の変化が生じないということである。即ち、顕在空間で地球に対し光速に近い速さで等速運動している物質が放つ光は、決して赤方偏移などしないのである。もう少し具体的に説明すると次のようになる。
A、空気大気中に対しては、
(1)静止した観測者には、静止した物体から発せられた音波はドップラー効果が生じない。
(2)観測者と音源のどちらかが移動(等速運動)している時はドップラー効果が生じる。
B、エーテル大気中に対しては、
(1)静止(又は等速直線運動)している観測者には、静止(又は等速直線運動)している物体から発せられた光波は波長の変化(赤方偏移など)は生じない。
(2)観測者又は光源のどちらかが加速度運動している時は、光波の波長に変化(赤方偏移など)が生じる。


2、4 累積エネルギー(第二のブラックボックス)

 「物の量と運動の量は不変に維持される」、という言葉は太古からしばしば使われてきた。力と運動の関係を始めて定量的に観測したのはデカルトである。彼は物体と物体とが衝突するときの様々な実験をくり返し、物体を起動する力と時間とを掛けた値は、質量と速度を掛けた値に等しいことを見いだす。
   F・t=m・v ここで  F:力、  t:時間、  m:質量、  v:速度。
 この力と時間の相乗積を“力の衝撃”と呼んだ。そして彼は言う「宇宙における運動の量は常に一定である」。
 半世紀後にライプニッツは、デカルトの説に異論を挟み、力の測量は“力と高さの相乗積”で表すべきであると提唱する。
   F・h=m・v ここで  h:初速度vで真上に投げた際、物体が上昇した最上点までの距離。
 <注> 上記の式はライプニッツの誤りで、正しくは F・h=1/2・m・v であると現在では解されている。
 この時代ヨーロッパでは、活力の大きさを表す際上記のどちらが正しいか、はげしい論争が行われた。約50年後にダランベールが、この問題は言葉の争いに他ならないとして決着をみる。即ち、時間を考えると速度に比例し、距離を考えると速度の二乗に比例するのであることを証明する。現代では前者を運動量、後者を運動エネルギーと呼んでいる。
 またニュートンは、彼の力の法則をより完全に証明するため、絶対時間、絶対空間の存在を明らかにしようとした。 彼の時代には,恒星が絶対静止ではないかと考えられていたので、それを根拠に絶対運動を明らかにしようと企てたが、その企ては失敗に終わっている。
 さて、本書では現在よく使用されている慣性の法則や運動エネルギーなどに対し、これまでの常識とは異なった、エーテル大気の存在を意識した、別の視点から論考していくことになる。その呼び名を累積エネルギーと呼ぼう。
この概念は極めて理解しにくく説明しにくいので、まず始めにここでは概略だけを記述しておこう。
(1)慣性(惰性)の法則の慣性そのものを、累積エネルギーと呼ぶ。そして物体の慣性は累積エネルギーで計量すべきであると主張する。物体に力がなんら作用しないとき等速直線運動を継続できる理由は、この累積エネルギーを有しているからであると解く。したがって二つの物体が全く同一速度であるならば、全く同一の累積エネルギーを有することになる。
(2)運動エネルギーや慣性力が、主に大地に対して相対的なものであるのに対し、累積エネルギーは絶対空間に対して絶対的な量である。即ち、累積エネルギーの量がその物質の絶対速度に比例する。よって宇宙には絶対静止が存在することを明言する。
(3)物体が光速を越えた瞬間光を放出し、累積エネルギーが0(ゼロ)となり、その時その物体は絶対静止状態となるのだと説明する。故に光速を超える物質は存在しないことが分かる。
(4)累積エネルギーの量は、次式で表わされる。
      E=m・v   ここで E:累積エネルギー,   v:絶対速度 


 <累積エネルギーが  E=m・v  である理由> 
 デカルトは物体どうしが衝突する際の実験から「力積」を求めた。ライプニッツは物体を真上に投げた時の実験から「活力」を求めた。そして現在一般に使用されている運動エネルギーとは、物体がその速度に達するまでに要したエネルギーで表現される。しかしこの物理概念は、その速度を有する物体の持つ真のエネルギーとは異なるのではないかという疑問が、私の物理理念の中の一つに長期に亘り存在していた。そして私は最終的に次のような結論に到達した。
 物体の慣性力とは、その物体が等速直線運動している際に有している力で計るべきであって、速度の変化が生じている時であってはならない。となると、速さ(v)の物体の有する真の慣性力とは、質量と速さと距離の相乗積で表わすのが妥当ではないか。又等速直線運動している際の単位時間での移動距離は速さに正比例するので速さが倍になれば距離も倍になる、結局数式で表わすと速さの二乗となり上式を得る。 
 *定義* このように物体が等速直線運動している状態で、その物体が有している絶対エネルギーを本書では“累積エネルギー”と呼ぶ。
 そして、累積エネルギーとは、絶対空間に対し絶対速度を表わしており、これまでの運動エネルギーとは区別する。
 ここに記した二つの新概念は、相対性理論を批判する際には速度座標空間が用いられ、物体が光速に達したとき光を放射するのだという説を論証する際には累積エネルギーが用いられる。

トップ へ
inserted by FC2 system