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10、重力 |
未だ、未解決問題の代表格として君臨している「重力の真実」。 プランク量子単位系と未知なる粒子の数値から、宇宙の根底に潜み、極小の世界に広がる宇宙の秘密、重力の謎に挑む。 これまで、本書では重力に関する様々な現象を明確化してきた。例えば第1章のエーテル大気の存在を筆頭に累積エネルギー、速度座標系などの新概念、第9章の重力定数の研究、未知なる粒子の発見、プランク単位系の正しい数値など。本章ではこれまでの科学には存在しなかった全く新しい知識と数値群から、重力の真実を探究し明晰化していくことになる。 真理は大自然の中に在り、壁に囲まれ手厚く保護されている教科書の中に在るのではない。 <重力の謎の答えは見つかった> 重力理論は、本書の中でも最も重要で且つ難解極まる論考です。現代科学の教科書の中の一般常識からは相当かけ離れた発想から理論展開されており、そのため極度に説明しにくく理解に苦しむ箇所が複数存在し、正しく解読するには容易ではないと思われます。難しくはないのだが奇異なのです。奇異ではあるが真実なのです。しかし自然科学を正しく理解するには絶対欠かせない重要な課題であることは間違いありません。そして、本書の内容を正しく理解することで宇宙の真理とは何かが見えてくるはずです。
(1)物体は本来ある位置でとどまる。 石などの重い物体ほど低い位置で止まり、煙のような軽い物体は上昇することから、重い物体ほど宇宙の中心に本来ある位置が存在し、軽い物体ほどその位置が上方にあると考えていたようである。その結果「地球の中心は宇宙の中心である」という説は正しいという結論を得る。 (2)重い物体ほど速く落下する。 服などの軽い物体より石などの重い物体の方が速く落下する事実からこのように考えられていた。 (3)加速度落下 物体が落下する際、速度が増していく原因に関しては、速度が増すと重量も増すため、更に速度も増すのであると捉えていた。 (4)横方向への運動 ボールや弓矢などに水平方向に力を加えると与える力が強いほど速く運動し、力を与えないと徐々に減速してしまうことから、横方向に移動する物体は新たな力を加えない限り益々遅くなり静止すると述べている。 (5)星の回転に関して 惑星などの軌道は完全な円を描き、等速に運行する。
(1)動機 この当時の天体の運動に関しては、天文学者の間においてもなんら統一性がなく、複数の同心円や周転円、離心円を組み合わせただけのもので法則性に欠けていた。コペルニクスは自らの観測により、もし太陽を中心として各惑星が回転していると仮定するならば、惑星の逆行や留の原因を説明できることに気付いた。そして過去においても似たよう説がないか可能な限り調べてみることになる。 その結果、太陽が東から昇り西に沈む原因が地球の自転のためであるというヘラクレイデスの説。太陽は地球の大きさの300倍あり、それを中心に各惑星は回転しているのであるというアリスタルコスの説。水星と金星は太陽を中心に回転し、その他の惑星は地球を中心として回転しているというマルチアヌス・カペラの説、などがあることを知ることになる。そこから自分の説が真実であるという確信を強めていくことになる。 (2)学説 このような様々な理由によりコペルニクスは、これまでの地球中心宇宙観を覆し太陽中心説を提唱することになる。この説が「天体の回転について」としてまとめられる。その主な内容を要約すると次のようになる。 @ 太陽を中心に、各惑星はそれぞれの円軌道を回転している。 A 地球は毎日1回自転しており、その結果天体が毎日回転しているように見える。 B 太陽と恒星軌道の距離は太陽と地球の距離に比べ限りなく大きい。 C 惑星の運行の逆行や留は、その惑星の固有の運行ではなく、地球が公転してるための見かけ上のものである。 上記のようにコペルニクスはこれまでの宇宙観を完全に覆したわけであるが、それでもほとんど公理とされていた「天体の運動は等速で円形である」という言葉からは抜けることができなかった。そのため正確な運行軌道を予測することは困難であり運行を計算する天文学者にとっては役立つものではなかった。新しい真理は、生まれた初期には完全であることが稀であることを示すよい例である。 (3)出版 コペルニクスが「天体の回転について」の内容を完成したのが1530年ごろと言われる。仲間の学者達からは早く出版するよう催促されたが、実際に出版されたのは彼が死ぬ1年前の1543年である。何故彼はそんなに長い間承諾しなかったのかに関しては諸説あるが大体次のような理由と説明されている。 その当時アリストテレスの唱える宇宙観は絶対的神聖なものであり、またこの時代の学校などでは旧説を教えることが義務ずけられていた。したがってこれに反することは神に逆らう異端者として罰せられる危険が充分あった。また彼の新説はその当時の常識的学説に比べ奇異な個所や不一致の部分も存在し、彼自身敵対者からの悪評を恐れていたようである。
ケプラーの法則が誕生した発端は、ティコの20年近くに及ぶ厖大な観測データを利用出来たことである。 この当時、国や皇帝の運命を予言する占星術が盛んであった。したがって運命を左右する天文学の研究には多大な国家予算が割り当てられることがしばしば生じた。 ティコの場合もデンマークのフレデリック二世に認められ、国家予算の5%もの資金と小さな島(フヴィン)が与えられた。ティコはここに大規模な天文台を築き上げ、20年近くにわたり天体観測を続け極めて精密度で正確なデータを蓄積することになる。 特にティコは、星の位置を精密に測定できる巨大な四分儀を製作するのを得意とし、更には方位と高度を容易かつ精密に測定できる、真鍮製の方位角四分儀を製作し、先人たちの仕事を凌駕した。 しかし、フレデリック二世が亡くなると活動費用は打ち切られ、更に反対派に暴行を受けるようになった為重要な記録類などを持ってその島を立ち去ることになる。そしてローマの皇帝ルドルフに使える数学者となってチェコのプラハに移住する。そこでケプラーとの運命の出会が始まる。 (B)ケプラーの功績 ケプラーは、オーストリアのグラーツにある高等学校の教師をしていたが、宗教上の理由によりその地を去りプラハに移住することになる。そこでティコとめぐり会いティコの数学の助手として認められティコの蓄積した厖大な観測記録を閲覧することになる。 図ー10:惑星の楕円軌道と面積速度 (1)惑星の楕円軌道(第一法則) この当時の天体に関する常識は、アリストテレスの「惑星の軌道は完全な円を成し且つ等速運動である」というものであった。ケプラーもその考えから抜け出ることは出来なっかった。またコペルニクスの太陽中心説および地球の自転は正しいと認識していた。 そしてケプラーはティコの厖大で精密且つ正確な観測データを分析した。最初はその当時の天体学者と同様、周転円や離心円を使用し計算したがわずかな誤差が生じた。試行錯誤ののち惑星軌道を円軌道としていたのでは、計算結果と実測位置との誤差が無くならないことに気ずき始めた。そこで始め卵型の円軌道を考案し、その計算結果と実測位置とを比較したが満足できる一致を得ることは出来なかった。色々な惑星軌道のモデルを考えた末、彼は楕円軌道とした場合に着手することになる。 ケプラーの著書「新天文学」(1609年)で<惑星が太陽を焦点として楕円軌道を描くと仮定すると、この誤差が完全になくなることを証明できる>と述べている。このように楕円軌道と仮定した際、その計算結果と観測結果とが完全に一致することを証明したわけであるが、その当時公理として捉えられていた円軌道を覆したのであるから、多くの学者から「貴方の仮説は馬鹿げている」などの批判を浴びたようである。いつの時代でも規定概念が誤っていたとしても、それを覆すことは非常な労力を必要とするようである。 図−10について説明すると、Oは楕円の中心。f1、f2は焦点でf1が太陽。aは長軸の半径、bは短軸の半径である。 (2)面積速度の一定(第二法則) このように惑星軌道が楕円であることが分かると、星の速さが一定であるという規定概念も疑わしくなる。ケプラーはさらに詳しく分析し、星の速さは太陽に近い位置にある時ほど速いことに気が付く。そこからある一定時間に回転する軌道の線分とその二点が太陽となす面積が常に一定であることを証明する。 図について説明すると、星が一定期間に移動した始点と終点および太陽とを結んだ線分内の面積は常に一定である。 (3)惑星の周期の二乗は軌道半径(長軸半径)の三乗に比例する(第三法則) ケプラーは新天文学の発表後、星の種類による太陽からの距離、回転の速さ、周期などの関係を詳細に調べ、秘められた天体の真理の一端を垣間見ることになる。この著書は10年後に「世界の調和」として公表される。 T2 =k・a3 ここで T:惑星の周期。a:楕円の長軸半径。k:定数。 (4)惑星の回転原因 ケプラーは何故月が地球の周りを回転したり、惑星が太陽の周りを回転するのかその理由を考えた。 彼は星の回転は、中心となる星の自転に起因するものであると考えていた。即ち太陽が自転することにより衝撃が生じ、その周囲に余韻が広がりその力で惑星が回転しているのであると述べている。そしてもし太陽が自転してないとすると、惑星は回転することが出来ず太陽に落下するだろうとも述べている。更に地球が自転してないと月と地球は互いに、星の重量に反比例した距離だけ近ずき衝突することになるだろうとも述べている。この時代において既に星同士の重量に比例して重力が働くという考えを持っていたようである。
@ 本書でも何度か説明したように、船が停止していようが、速い速度で移動していようが、帆柱の上から離した物体が甲板の同一位置に落下する現象から「物体は力が加わらない限り等速運動を継続する」とガリレオは理解していた。これはアリストテレスとは全く異なった解釈である。 A 振り子運動の観測から、空気などの抵抗力がないとき左右の高さが全く同一であることから洞察し、限界のない水平面上において投げられた球は、一切の抵抗が除かれたときはどこまでも等速運動を続け、無限遠方まで移動すると述べている。 (2)落下運動 自然落下により物体がますます速くなる理由に関しては、上記の慣性の概念を拡張して考察している。即ち、自然落下する物体には重力により間断なく力が作用するからその力が加算され力の量が増していき、その結果落下する物体はますます速度が速くなるのであると説明している。 以上の考察から落体物体の速度は、下方に一定に加わる重力をgとした場合、加算された力の量が速度に比例するのであるから、V=g・t となる。 <注>:この考えは、本書の「累積エネルギー」の考えと類似しているが詳細な点では異なっている。 更に、初速度=0 より自由落下した物体のn秒後の速度をVnとした際、その時間内に落下した距離Snは、最終速度Vnと時間tnの積の1/2であることを示している。Sn= 1/2・(Vn・tn) これより、S= 1/2・(g・t2) なる式(ガリレオの法則)を導出している。 (3)奇数の法則 ガリレオは上記の式を証明するため、斜面に沿ってボールなどを落下する時の単位時間と落下距離を測定する実験を何度も繰り返えして確認している。そこから「奇数の法則」を導いている。 斜面の上方部分から、初速度=0で落下した際、最初の1秒で距離X1=1だとすると、次の1秒ではX2=3、次の1秒ではX3=5、さらに次の1秒ではX4=7という測定値を観測している。 この数値は、S= 1/2・(g・t2) なる式から容易に得られる。 即ち1秒後で落下した距離をS1=1とすると、2秒後はS2=4、3秒後はS3=9となり、その差を求めればよい。 (4)放射曲線 物体(石や矢など)を水平方向に投げ出した際、放射線を描いて落下する事実から、空気などの抵抗が無い状態においては、水平方向への速度は一定であり、垂直方向への速度は重力により下方に加速される。したがって物体の運動は新たに加わった力と合成されると述べている。しかし法則として定式化するまでには至らなかった。 力の合成に関しては、ニュートンが「力の平行四辺形の定理」として定式化している。 (5)星の回転 ガリレオはケプラーと同様、何故太陽の周りを惑星が回転するかを考察した。 彼は太陽の近辺にある塊り(星)が徐々に離れていき現在の軌道を回転しているという説には否定的であった。ガリレオといえどもこの点に関しては神の力を借りている。即ち、まず神が太陽を固定した位置に生み出し、その太陽からはるか離れた空間に幾つかの掌(惑星)が生じたのであると言う。その惑星が速度を増しながら太陽に落下してきて途中で回転運動に変化し現在の軌道に落ち着いたのである。したがって太陽に近い惑星ほど回転速度が速いのであると説明している。 太陽系の創造に関しては誤った解釈をしていたようである。 (6)潮汐現象 この当時はまだ天体間の重力に関しては、はっきりした考えが定着していなかった。したがってガリレオは潮汐現象に関し、次のように説明している。 地球は太陽の周りを一定の速度で回転している。また地球は自転しており、公転速度と自転速度が同一方向の時は、その地点の速度は加速され、地球の反対の地点では減速される。また水は流動的なので海は陸より遅れて移動する。その結果潮汐現象が生ずるのである。潮汐現象は地球が静止してない証拠である。 この説明もあまり正しいとは言えない。 (7)デカルトとライプニッツの力学 ガリレオ以降の運動力学の研究は多くの実験家によって行われたが、特にデカルトとライプニッツの功績があげられる。以下にその内容を簡潔に説明しておこう。 @ デカルトは物体同志の衝突実験を繰り返し、質量と速度の相乗積の運動量 m・v が、力と時間の相乗積に等しいことを証明する。 m・v=f・t 。 ここでf:加えた力。t:時間。彼はこの相乗積を「力積」と呼んだ。 A ライプニッツは物体を真上に投げ上げた時、最上点に達した時の距離から運動量の大きさとすべきであると主張する。 f・h=1/2・m・v2 。ここで、f:加えた力。h:投げた位置から最上点までの距離。v:投げ上げた時の初速度。彼はこの力の相乗積を「活力」と呼んだ。
フック(1635〜1703)は、すべての天体はその中心に向かう重力により互いに引き合うこと、地球と月の共通重心が太陽の楕円軌道を公転すること、およびその力の量は天体同士の距離が近いほど強いとも述べている。逆二乗の法則についても既に説明していたという書物もある。 ニュートンの功績はこれ等の思想を更に発展させ、宇宙の一般法則として定式化し、それを観測事実から証明したところにある。 (1)放射物体の運動 ニュートンは高い塔の上から物体を勢いよく水平に発射した際その物体の飛跡がどうなるかを考えた。発射時の速度が速いほどその物体は地面に落下するまでの距離が遠方であるという事実から、初速度が速いほど大地に対し平行な曲線を描くだろう。したがって初速度が非常に大きく、空気の抵抗もないならばその物体は地球を一回転し、もとの発射位置の高さに戻ってくるはずである。即ち月が地球を回転している原因はこの慣性の法則の延長ではないだろうかと推察した。 (2)逆二乗の法則 ニュートン以前にフックやハリーなどにより重力の及ぼす力が距離の二乗に反比例することはケプラーの第三法則などから求められることが既に知られていた。 たとえば月の回転速度をvとすると公転周期Tは、 T = 2$\pi$R/v で表せる。そしてケプラーの第三法則は月までの距離をRとして T2 =kR3 である。 したがって、kv2 =4$\pi$2(1/R) また、下記の 式10−0 より月の軌道の重力は、 a = 4$\pi$2R /T2 これより a=(2$\pi$R/T)2 ・(1/R) =v2・(1/R) したがって、a=(4$\pi$2/k)・1/R2 =K・1/R2 を得る。 (3)地球の重力と月の運行 ニュートンは月の回転軌道が地球の重力によるに違いないというその当時としてはごく平凡な考えが正しいという前提のもと考察を続けることになる。 図10.0:月の回転 図−10.0:月の回転 について説明すると、A:月の現在位置。B:地球方向に落下しなかった場合の1分後の月の位置。D:実際の月の位置。C:地球の中心。R:月までの距離。 この当時、前述のガリレオの法則、逆二乗の法則は既に知られていた。又月までの距離が地球の半径の60倍であることも知られていた。したがってリンゴが地球表面上で1秒間に落下する距離と月が地球の中心に向かって落下する距離との比は、 60x60=3600 であることは容易に計算できる。 ニュートンはその当時観測されていた信頼できる数値、即ち月の公転周期:T=27.32日、地球表面の重力加速度:g=980 cm・sec2、地球の中心から月までの距離:R=3.84x1010 cm から、この比に相当する数値が得られるかを考察することになる。 月が地球の重力に因らない場合はそのまま直進し地球から遠去かることは明らかである。地球の重力に因り間断なく落下するため月は円軌道を描いて回転しているのである。図では単位時間に落下する距離をBDで表している。そして月の軌道上での地球の及ぼす重力加速度をaで表し微小時間を凾狽ナ表すと、ガリレオの法則から 1/2・(a・凾2)= BD である。 次に月の公転周期をTとすると 冲/T = AD/2$\pi$R 上記2式より、a/2 = {(2$\pi$R)2/T2}BD/AD2 。 また、円に関する接線の定理から、 AD2 = BD(BD+2R)= 2BD・R+BD2 。2次の微小量を省略して AD2 = 2BD・R が成立する。 以上の結果より、月の軌道における重力加速度:a は、 a = 4$\pi$2R /T2 ・・・(式10−0) 。 また、月の公転周期を秒に換算すると,T=27.32日x24時間x3600秒である。そして地球からつきまでの半径は、R=3.84x1010 cm であるから、その数値を代入すると a = 0.272 cm/sec2を得る。 そして地球表面の重力は g = 980 cm/sec2 であるからその比は g/a = 3603 となる。 以上の結果より逆二乗の法則が完全に正しいことが検証され、確信を強めたニュートンは一般にも公表することになる。1687年のことである。 しかしニュートンは、1666年ごろその当時船乗りなどの間で用いられていた地球表面上の緯度1度に対し、60マイルという値を用いて計算していた。実際正しい値は69.5マイルである。そのためニュートンは重力比を4000前後と算出した。この値は逆二乗の法則から導き出した値とは多少異なっており、満足できる数値ではなかった。そこで正式な公表は避け別の課題の仕事をしたようである。その後1671年、ジャン・ピカール(1620〜82)により正確な測定がなされ、それを知った彼は再度計算をやり直し、予測通りの一致した値を得た。 (4)重力の法則の証明 月の回転が地球の重力に因るものであることを証明したニュートンは、その考えをさらに一般化した法則へと推し進めていく。即ち太陽の重力により惑星が回転し、地球の重力に因り月が回転しているなら、質量を有している物体はすべて重力が働いているのではないかという考えに到達する。 ニュートン力学は三つの基本法則から出発する。 @ 慣性の法則(第一法則) 外力を受けない物体は静止または等速度運動を継続する。 A 力の運動方程式(第二法則) 物体に力が作用した時は、力の向きに力の大きさに比例した(および質量に反比例した)加速度(速度の変化)が生じる。 F=m・α 。 m:質量。α:加速度。F:力。 B 作用、反作用の法則(第三法則) 二つの物体が作用を及ぼし合うときは、その力の大きさは等しく、逆向きである。 今、地球が月に及ぼす力を F1=M・α1 、月が地球に及ぼす力を F2=m・α2 とする。αは重力加速度。Mは地球の質量。mは月の質量。 加速度は地球と月の距離の二乗に反比例するから α1=k1/R2 、α2=k2/R2 と置くと F1=M・k1/R2 F2=m・k2/R2 そして、作用、反作用の法則から F1とF2 は等しくなければならない。そのためには、係数 k1=m・G、k2=M・G と置くとよい。 上式は、 F1=G・m・M/R2 。F2=G・m・M/R2 となり、作用反作用の法則を満たす。 よって F=G・m・M/R2 を得る。 (5)重力質量と慣性質量の等価性 ニュートンはプリンキピアの冒頭の定義1で「物質の量」に関し厳格に定めている。それによると「物質の量とは、その物質の密度と容積で測られるものである」と定めている。たとえば1立法センチの容積の水の質量を1と定めた際、同一の容積の物体が3.5であったとき、その物体の密度は3.5となる。そしてその物体の全容積が5立法センチの時は、物質の量は、5x3.5 となる。 また、質量には重力質量と慣性質量があり互いに等価であることを証明している。 @重力質量 地球の重力により物体を支える力に比例した物質の量が重力質量である。地球表面上の重力をgと表した際の力の方程式は Fg=mg・g で表せる。ここで mg が重力質量である。 また、重力方程式 F=G・(M・m/r2)で表せる。ここで、Mとm は重力質量である。 A慣性質量 物体を移動する際、力:Fを必要とする。この時物体は速度の変化(加速度)が生じる。この時の運動の方程式は、加速度をαで表すと F=m・α で与えられる。この時の m が慣性質量である。動きにくさの尺度にもなる。 B等価性の証明 彼の顕した「プリンキピア」においては、惑星や月の回転運動および物体の落下運動などから説明している。以下にその内容の要点を引用しよう。 まず彼は、月が回転を失った際遠心力が無くなるため地球の重力により地球の中心に向かって落下することを示す。そして月の軌道に別の物体を置いたと想像すると、その物体は、一定の時間に月の落下と同じ距離だけ落下することは、地球上での落下実験より確かであることを証明する。更に同じ論法により、太陽を回転している惑星が、同一の回転軌道から同時に落下させたとすると等しい時間内に等しい距離だけ落下する。また、重力質量の異なった物体を等しく加速する力は、それらの重力質量に比例していることは既存の事実である。。即ち、太陽に向かう諸惑星の慣性質量は、その惑星の重力質量に比例しなければならない。このことは諸惑星の太陽に向かう慣性質量が、各惑星の重力質量に比例していることであり、また実際の惑星の運行が極めて規則的であることから明らかである。 (6)重力の原因はエーテル ニュートンは、何故物体同志は互いに引き合うのかその原因を考えた。洞察力と理解力に富んだ彼は次のような思考を巡らす。ただし確信はなかったようであくまでも疑問というかたちで論じている。 宇宙に充満しているエーテルには、密度の高い空間と低い空間とが存在し、物体は密度の高い部分から低い部分に移動するのである。そして密度の高い空間とは物質体が存在しないより真空に近い所であり、密度の低い空間とは太陽や地球のような物質体が多く存在するところである。その結果としてエーテル密度の低い星の中心に向かって物体は落下するのである。
アインシュタインも重力質量と慣性質量が等価であることを説明している。彼は質量に対し次のように考えていたようである。 ある壁に囲まれ孤立した小さな実験室を想像する。この中にはMなる重さをもつ物体があり、また重さを測る測定器が床に固定されている。そして地球表面上の重力加速度はgであるから、測定器にかかる力は Fg=Mg・g となる。この時の質量Mgは重力質量である。 一方、全く同一の実験室を一切重力が無い宇宙空間に持って行ったと想像しよう。 この時重力はα=0であるから、測定器にかかる力は Fa=Ma・α=0 である。次に天井に頑丈なロープを連結し、ロケットで加速度g(地球上の重力加速度と同じ)で引っ張たとしよう。この時の測定機にかかる力は Fa=Ma・g で、Ma は慣性質量である。そして Fg=Fa は観測により成立するのであるから、Mg=Ma となり質量の等価性原理が証明される。 しかしアインシュタインの等価性の原理は、表現方法は多少異なるがニュートンが既に述べていたことであって、それ程目新しいことではない。 他方、相対性理論では慣性質量を次の式で与えられると説明している。 m=m0/{1−(v/c)2}1/2 ここで、m:慣性質量。m0:静止質量。v:速度。c:光速。 **この質量の式は、質量が無限大に変化したり(電子が光速に近ずくと地球より重くなるということである)、質量とエネルギーとを混在したり、曖昧な科学を増幅してるだけである。科学とは曖昧な事柄を明晰化していくことが重要でそれと逆行しており、とても正しいとは思えない。** (2)相対性理論 現在、重力理論には色々あるようだが、その中でもアインシュタインの一般相対性理論の重力場の方程式が最も信頼できるものと解され有力視されている。しかし本書、14章で特殊相対性理論が誤りであることを完全な形で論破した。この間違った理論を基礎として構築された一般相対性理論が正しいとは考えにくい。この誤った重力理論を長々と書く気にはとてもなれない。しかし知識としては必要なので、一般相対性理論における重力場の考えを以下に要約しておこう。 ・重力場は時空連続体の歪である。 ・重力は重力から生ずる。 ・質量を有する物体の加速運動から重力波は生ずる。 ・重力波は時空のゆらぎの伝播である。 ・重力波が伝わる速さは光速である。
そしてその結果、現在では未解決問題として取り残されている複数の疑問を解決することになり、そのことにより本書でこれまで主張してきた内容が正しいのではないかと読者も気付かれることだろう。 本書で主張する重力の世界は、現代科学の常識とは全く異なっており、とても信頼できるものではないと思われるだろうが、これが重力の真実なのである。 それではまだ誰も知らない人類未踏の、陽子の一兆分の1の更に1兆分の1という極小の世界の旅に、洞察力と精密かつ正確な観測データという友を従え出発することにしよう。
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