目次、記録 宇宙の真理  再現性の法則 宇宙の大気 大自然の秘密 古代ギリシャ哲学 エーテル仮説 マイケルソンの実験
分割/不分割の問題 熱力学  エントロピー 空洞輻射 プランクの公式 公理系 次元と単位 重力定数の研究
未知なる粒子  プランク単位系  ボルツマン定数  重力 光の転生 電気素量の算出 ボーアの原子理論 光の正体
ビッグバンの困難  相対性理論の誤解  元素の周期律表  一歩進んだ宇宙論 電磁気の歩み 電磁気基礎知識 マクスウェル方程式 電磁波は実在しない
回転軌道の法則  赤方偏移の真実 周期律表の探究  周期律表正しい解釈  真偽まだらな量子力学 波動 宇宙パワー 
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光の放射原理  累積エネルギー 
ラーモアの公式   光の放射  
電子の落下速度  光の新知識  
現代科学との関連   チェレンコフ放射  
光電効果の解釈   光の詩  


「光よ光よ、お前は何時生まれてきたのだ」
「私は電子が光速に達した時、生まれてくるのさ」
 現代科学の進歩が著しいとはいえ、まだまだ未解決問題は沢山ある。「光とは何か」。これも困難な課題の一つである。光波は無限遠方まで届くのか、有限なのか。光は波か粒子か、空間を伝播してるのか飛来するのか。その発生と消滅の仕組みは。光線一本を識別できるのか、その断面積の大きさは。その姿かたちを特定できるのかなど、数えだしたらきりがない。だが人の叡智に壁はなく、多くのチャレンジャーがこれ等の難題と格闘し試行錯誤をくり返し、徐々にではあるが解決の方向に進んでいる。本書では、これまでの科学とは異なった量子単位系からの視点により光の姿を観察し、「新しい光の世界」に挑戦する。そこから現在絶対正しいと公認されているマクスウェルの電磁理論にも欠陥があることを指摘する。
 <宇宙の真理に対しては誰が発言したかに関係なく、正しいものはあくまでも正しく、誤っているものはあくまでも誤っているのである。>
「光よ光よ、お前は何で出来ているのだ」
「1兆の1億倍の量子ゆらぎの束の流れから」


12、 光の放射原理  

 <光の特性>
 最初に、現在正しいと公認されている光の特性と一般常識に関し、重要と思われる項目を列記しておこう。
(1)光の速度 
 光の速度は通過する媒質により異なり、その媒質の屈折率に反比例する。真空の屈折率は=1 であり、水中の屈折率は=1.33であるから、真空中の速度をCとすると、水中での速度は、C/1.33 となる。
 また真空中での速度は、C=2.998x10(m/sec)である。
(2)伝播方法 
 以前は、光は真空に存在するエーテルを媒体として伝わる波であると理解され明確化されていた。近年では光子でもあるとされているので、エーテルの存在は殆んど無視されている。従って光は媒質体内部を飛来するものと解される。光子(粒子)であることを認めると,、粒子なら必ず速い粒子と遅い粒子が存在するのであるから、同一媒体内でも光の速度に違いが生ずるはずである。しかし実際は媒質が同じなら光速は同一である。この矛盾に対しては、光は電磁波であり、電磁波は何も無い空間でもまっすぐ進むことができる特性を持つから当然であると解釈されている。波であるならそれを伝える媒体(エーテル)がなければならないのにその事実には背を向けている。更に言えば何も無い空間が真実何も無いのか、どんな空間なのか現代科学では証明も説明もできないのである。また第4章のエーテル でも述べたように、電磁波を最初に予言したマクスウェルは静止エーテルの存在を基礎として電磁理論を構築したのであり、エーテルを否定することは電磁波を否定したのと同じなのである。その辺の曖昧な点が現在でもあまり明確化されていない。
(3)反射、屈折 
 光は、物質に当たると反射する。光線は当たった面に対し、入射角と反射角が等しい。面が滑らかならば像は物質面の内部から来たように見える。これを正反射(鏡面反射)と呼ぶ。面が粗い場合光線は散乱するので像はできない。これを乱反射と呼ぶ。
 物質が透明、半透明の場合は、光線の一部は反射せず物質内部に進入する。その際光線は直進せず、物質の有する屈折率に従って進路を変える。
(4)干渉、回折 
 光は前方に何もないときは直進するが、物体があると遮られる。そして後ろに壁があるとその物体の影ができる。その影の部分にも光線の一部が回り込む。その現象を回折と呼ぶ。 逆に光は不透明な物質の壁に当たると遮られる。壁にスリット(小孔)があると、そのスリットを点光源として、周囲に広がる。これも回折現象の一部である。
 光は波でもあるので波長単位で光波の振幅に強弱がある。二つ以上の波が重なった場合、互いに強めあったり打ち消しあったりし唸りなどの現象を生ずる。そのような現象を光の干渉と呼ぶ。
(5)光波、波長、振動数 
 光が波であると考えた場合は、その波長が存在する。その波長の長さによりその呼び名が異なる。また光の振動数とは光速を波長で割った値である。 振動数=光速/ 波長 



    表12−1:光の波長と呼び名

 光線の呼称

光の波長

振動数

 大分類 中分類 小分類   (メートル)   (ヘルツ) 
 電波 ラジオ波 極超長波 (ELF、SLF,ULF)10〜10 m3〜3000 Hz
超長波 (VLF)10〜10 m  10〜10 Hz
長波 (LF)10〜10 m 10〜10 Hz
中波 (MF)10〜10 m 10〜10 Hz
短波 (HF)10〜10 m 10〜10 Hz
超短波 (VHF)10〜10 m 10〜10 Hz
 マイクロ波 極超短波 (UHF)10ー1〜10 m 10〜10 Hz
センチメートル波 (SHF)10ー2〜10ー1 m 10〜1010 Hz
ミリメートル波 (EHF)10ー3〜10ー2 m 1010〜1011 Hz
デシメートル波  10ー4〜10ー3 m 1011〜1012 Hz
 赤外線   0.75x10ー6〜10ー4 m 1012〜1014 Hz
 可視光線  赤  0、64x10ー6〜0、75x10ー6m 4、69x1014 Hz
 橙  0.59x10ー6〜0.64x10ー6m 5、08x1014 Hz
 黄  0.55x10ー6〜0.59x10ー6m 5、45x1014 Hz
 緑  0.49x10ー6〜0.55x10ー6m 6、12x1014 Hz
 青  0.43x10ー6〜0.49x10ー6m 6、97x1014 Hz
 紫  0.38x10ー6〜0.43x10ー6m 7、89x1014 Hz
 紫外線0.2x10ー6〜3.8x10ー6 m 1014〜1015 Hz
 X線10ー8〜10ー6 m 1014〜1016 Hz
 γ(ガンマー)線10ー8 m〜以下  1016 Hz 〜以上 

   

(6)色 
 人が色を認識するのは、眼から入射された光線が水晶体を通り、網膜に当たりその刺激が視神経を介して脳に伝わるためである。その時の光線の波長の種類により、上記のような色として感じとることになる。人の場合は可視光線の波長帯のみ光の色として認識でき、その他の波長の光線は認識することが出来ない。
 物体により色が異なって見えるのは、白色光(太陽光線など)は多数の波長の光線が混在したものであり、それが物体に当たるとある特定の波長のみが反射され、その他の波長の光線は吸収されてしまうためである。
 光の三原色としては赤、緑、青(RGB)が用いられ、テレビなどではこの混合色として多種類の色が表現される。
(7)分散 
 白色光をプリズムなどに当てると、幾つかの色に分かれる。これは同じ屈折率を持つ媒体でも光線の波長が異なると屈折角がわずかだけ異なるためである。それでは屈折率が同じなのに何故波長により屈折角度が異なるのだろうか。それは光線が媒質内部を通過すると電場が生じ、光線の波長の相異により媒質内の誘電率に違いが生ずるためだろうと考えられている。しかし、あまり正しい解釈とは思えない。
(8)偏光 
 分子の結晶構造がある一定方向を持つ物質からなる偏光版を考える。一枚目の偏光板は結晶構造の方向が上下になるようにして置く。その少し後方に二枚目の偏光版を90度回転して方向が左右になるように置く。そして垂直に光を当てると、光は一枚目の偏光版はそのまま通過する。しかし二枚目の偏光版では光は遮られ通過出来ない。この現象に対し、光線は紐を伝わる横波のようなものであり、光線により振動方向が異なるためであると認識されている。すなわち一枚目の偏光版では、上下の振動の光線は通過するが他の光線は遮られる。二枚目の偏光板では左右の光線は通すが、上下の光線は遮られてしまう。そのため光は一枚目は通過するが二枚目は通過出来ないのであると解されている。このような光の特性を偏光と呼んでいる。
(9)輻射エネルギー 
 身体に光が当たると暖かくなることから、光にはエネルギーがあることは明らかである。現代では光子として知られ、そのエネルギーは次式で与えられる。
   E=h・$\nu$   h:プランク定数。$\nu$:振動数。 

** アリストテレスは「物体が落下する際速度を増し、速度が増すと質量が増し、質量が増すと更に速度が増す」と述べている。ガリレオは数多くの実験を行い、速度が増しても質量が増したりしないことを証明し、この言葉を覆している。しかし現在の相対論では再び速度が増すと質量が増すとしており、その為粒子が光速に近付くと、質量が無限大となり光速を超えることはないのであると説明している。
 ニュートンは光とは最小粒子であると、光の粒子説を主張する。ホイヘンスやヤング、マックスウエルなどは光がエーテルを媒体として伝播する波であることを証明する。しかしアインシュタインは再び、光は粒子でもあり波でもあると説明する。 我々は一体どの言葉を信頼してよいのだろうか。**

  

12、1 累積エネルギー  

 本書「エーテル大気理論」では、9、4 で定義した量子単位系(プランク単位系と呼ぶ)からの数値と、2、4 で記載した累積エネルギーからの視点により、光の世界を観察し論考していくことになる。よって順序として累積エナルギーとはどういうものか、その詳細を正しく理解しておかなければならない。そこで累積エネルギーの定義から説明しておくことにしよう。
    物体は外部からなんら力が作用しないときは、そのままの運動を継続する。現在では、これを慣性の法則と言う。それでは何故そのままの運動を継続できるのか。それはいかなる物体も内部に累積エネルギーを有しているからである。その累積エネルギーが変化しない限り、同一運動を継続する。







A、累積エネルギーの定義 
 図―12.1 において、全く同一の大きさ、質量mの物体が同一方向に等速直線運動しているとする。この時、絶対静止空間に対し、物体Aは速さVaで、物体Bは速さVb=2Vaで、物体Nは速さVn=nVa であったとしよう。時刻t=0の時、同一位置にあったならt=1秒後にはAはLの位置、Bは2Lの位置 、NはnLの位置に達することになる。この時各物体の内在するエネルギーをそれぞれEa、Eb、En とすると各物体はそれぞれ異なった速さで且つ異なった距離だけ移動したのであるから、それぞれの相乗積で表わされる。 
  Ea=m・Va・L  
  Eb=m・Vb・2L=m・2Va・2L =m・Va・L・2 
  En=m・Vn・nL=m・nVa・nL =m・Va・L・n  
ここで、VaとLは任意であるから1と置くと、n=Vn となるから 
  En=m・Vn  を得る。この各物体に内在するエネルギーを累積エネルギーと定義する。 
<累積エネルギーは宇宙真理である> 
*累積エネルギーを明確に理解しない限り、正しい科学に到達することは出来ない。
(1)宇宙に存在する如何なる物質も累積エネルギーを有する。 
(2)累積エネルギーは絶対空間に対し絶対的な量である。
(3)物質になんら力が作用しなくとも真空中で等速直線運動を継続出来るのは、この累積エネルギーを物質内部に内在しているからである。そして累積エネルギーは、外部から何らかの力またはエネルギー(重力、輻射エネルギーなど)が加わらない限り変化しない。
(4)累積エネルギーがゼロ(0)のとき、絶対静止を意味する。 
(5)未知なる粒子が光速に達すると、その累積エネルギーは量子エネルギーに一致する。
(6)未知なる粒子が光速に達した瞬間、累積されたエネルギーを量子ゆらぎ(輻射エネルギー)として宇宙空間に放射し、累積エネルギーはゼロ(0)となる。故に粒子は絶対速度が光速を超えることが出来ない。
(7)累積エネルギーの量は 「E=m・v」で計量する。
(8)累積エネルギーは方向と大きさを持つ。
(9)累積エネルギーの保存則は成立する。
このように「累積エネルギーの特性」を明記すると、現代科学の抱える多くの謎、問題点、誤りなどが手に取るように見えてくる。例えば、光の放射原理の詳細、絶対静止の存在、特殊相対性理論の誤りなど。
B、エネルギーの保存則  
 物質体に何らかの外力または輻射エネルギー等が作用すると、その累積エネルギーに変化が生ずる。そして作用しあった系全体のエネルギー保存則は完全に成立する。

 追記:累積エネルギーの詳細(2019年1月 )


   本書執筆当初は、光の放射原理や原子の定常軌道を回転する電子が光を放射しない理由を解明するため、累積エネルギーという新概念を提唱したのであるが、その後更に深い意味が隠されていたのに気付いたので、そのことについて説明しておこう。
A、マックスウェルの分布則 (6、7、4 に記載)
 無数の分子の集合体の特性を考察するには、速度分布と速さ分布の統計的な方法で考察する必要があることを示した。そして、速度分布は 図6−8 で示す如く、各分子は方向と速さにより表現されており、従って分子全体の速度の合計はゼロとなる。又、速さ分布に関しては、速さのみ、即ち長さ成分(プラス)だけなので、全体の速さの合計は分子の数が多い程、増加する。
 以上を物理的に解釈すると、前者は分子集合体の移動速度を表現し、後者は分子全体の熱エネルギーを示している。
B、移動速度としての累積エネルギー
 図12−1で示したように、累積エネルギーを式で現すと次のようになる。
 i = m・li・i 。 ここで、太字はベクトル、Ei はi番目の累積エネルギー、mは分子の質量、viは絶対速度、liは移動距離を表す。
 又、単位ベクトルを e で表し、更に li =|vi| であるから、累積エネルギーは
 i = m・ei・|vi|  。
 よって、複数分子の総合累積エネルギーは   $\sum_{i=1}^n$Ei= m・$\sum_{i=1}^n$ ei・|vi| 。
 このように複数の分子の累積エネルギーは、ベクトル演算で算出できる。(ただし、内積と外積は適用できない)
C、熱エネルギーとしての累積エネルギー 
 ボルツマンのエネルギー当分配測に関しては、すでに詳しく説明した。
 1/2・m・v = 1/2・Kb・T  。 ここで、 Kb=R/Na 。R:気体定数、Na:分子の数。
 この式の物理的意味を解析すると、ある閉じられた系があり、その中に質量mの分子が複数Na存在し、一つの分子の平均温度、即ち系全体の温度がTであることを示している。従って、系内の一つの分子の速さが上昇すると、系全体の温度も上昇する。即ち、分子の速さが上昇すると温度も上昇する。
 [事例] ある孤立系としての巨大岩石Aが固定され絶対静止状態にある。そこに外部より粒子Bが累積エネルギーm・v で衝突して、静止した。この際、AとBの累積エネルギーと温度の関係はどうなるのだろうか。
@ 衝突後AもBも静止状態となる。Bが有していた累積エネルギーは岩石A内の微小粒子(自由電子など)の累積エネルギーを上昇させる。
A A内では、累積エネルギーを得た微小粒子が別の微小粒子に伝播し更に別の微小粒子に伝播し、A内の内部エネルギーを上昇させる。
B 即ち、固体内の各原子の累積エネルギーの総和が上昇すると固体全体の温度も上昇する。
C 岩石も粒子も静止しているので、全体としての累積エネルギーはゼロである。

  (注): この際巨大岩石が粒子Bの累積エネルギーの分だけ速度の変化を生じたとき、温度は変化しない。




12、2 絶対零度は絶対静止か  

    一昔前は熱の原因は熱素という元素に因るものだと考えられていた。またエーテル微分子の振動に因るのではないかとも考えられていた。ラムフォードは実験により熱とは熱素などではなく分子の運動であることを証明する。
 一方分子運動論からは、気体分子の温度を下げていくと、圧力を一定に保った際その体積が温度に比例して小さくなることが知られる。そして理想気体なるものを想定した場合には、温度を下げていった際体積がゼロになる絶対零度の存在が認められるようになる。また、分子の運動と温度との関係式(ボルツマンの法則)が証明される。 
   (1/2)m・v=(1/2)Kb・T 
 ここで、m:質量。v:速度。Kb:ボルツマン定数。T:絶対温度。 
この式から見ても、絶対温度がゼロ(0)になれば分子の速度もゼロになることは明らかである。即ち絶対零度を認めるならば絶対静止は存在すると考えられる。仮に絶対零度を否定したとしても、温度を下げることにより分子の速度は絶対静止に近付くことは確かである。

12、3 ラーモアの公式  

  << ラーモアの公式:P=(ea)/6πεc>>   をじっと眺めていると、幾つかの疑問が湧いてくる。
 ここで、e:素電荷。 a:荷電粒子の加速度。 ε:真空中の誘電率。 c:光速。 P:単位時間に輻射されるエネルギー。 
<注> ラーモアの公式が正しいとすると、原子核の周りを回転する電子は瞬時に原子核に吸収されてしまう。現実にはそんなことはなく、水素原子が実在するのであるからこの公式は正しくないことは明らかである。ただ量子の世界でない古典論に於いては正しいとされている。

(1)荷電粒子でないと光を放射しないのか
 ラーモアの公式に関しては11、1、3 でも簡単に説明した。その中で「古典論によると荷電粒子が加速度運動した際、連続的に光波を放射する」と述べた。確かに我々が経験できる自然現象に限って見れば正しいのである。しかしこの見解には一つ落とし穴がある。すなわち電荷を持たない粒子が長時間同一方向に加速度運動して光速を超えるようなとき、どうなるかを考慮していない。かりにそのような実験が出来、電荷を持たない粒子でも光を放射したら、上記の古典論の解釈は誤っていることになる。このことは光の速度が未定であった時代に、光の速度は無限であるという解釈と同じである。
注記:粒子が電荷を持つか持たないかに関係なく、 どんな粒子でも速度が増し光速に近ずくと輻射エネルギーを放射するのではないか。
(2)光を放射する理由が明確でない
 公式を見る限り、この荷電粒子は輻射エネルギーを放射しない限り無限大の速度に達する(質量が増加しない限り)。しかし現実的には輻射エネルギーを連続的に放射するため無限大にはならない。また単位時間に放射する輻射エネルギーは加速度の二乗に比例して強くなる。このことは粒子の速度がある速度(光速)に達する時間が早いほど多量のエネルギーを放射するとも解釈できる。
(3)輻射エネルギーを本当に連続的に放射しているのか 
 荷電粒子が加速度運動すると間違いなく輻射エネルギーを連続的に放射するのか。離散的ではないのか。その点の観測結果が不明確である。
(4)超光速が存在しない理由 
 相対性理論によると、超光速が存在しない理由は速度が増すと粒子の質量が無限大に成るため、光速より速くはなり得ないのだと説明している。私はこの説に否定的だったので無視することになる。したがって超光速が存在しない別の理由を推察しなければならない。
 そして改めてラーモアの公式を眺めて見ると、加速度運動を継続している荷電粒子(電荷のない粒子でもよい)が輻射エネルギーを放射しなかった場合、その粒子は明らかに光速を超えてしまう。(相対性理論を否定していればそうなる)しかし光速に達したとき光を放射すれば、その粒子の速度は減速し、光速は存在しても超光速は存在せず、またラーモアの公式も成立する。即ち実際の現象を全くうまく説明できる。更に、原子核の周りを電子が回転する際、定常状態の軌道に於いては定速円運動をしているのであり、光速を超えることは無いのであるから、光を放射しない理由も明確となる。また、光速に達する時間が1秒の一兆分の一以下であったならば、真実は離散的に放射されているのであるが、現実には光の放射が連続的であると解釈されてもおかしくない。
(5)電子が光速に達する時間 
 次に水素原子核を回転している電子が、回転軌道n=2 から中心に向かって落下した際、その電子の速度がゼロから光速に達するまでの時間を古典論にしたがって算出して見よう。この際クーロン力は中心方向にのみ働いているので、水平方向への速度は考慮しない。即ち、電子が中心の原子核に向かって落下する速度のみ考慮すればよい。
 電子の加速度は  Meα = e/4$\pi$ε(r  
      より    α = e/4$\pi$ε(r Me 
   ここで  Me:電子の質量=9.109x10−31 (kg) 。 e:素電荷=1.602x10−19 C(クーロン)。  ε:真空中の誘電率=8.854x10−12 F/m(ファラッド/メートル)。  r:n=2の電子の軌道の半径= 2.116x10−10 (m)。
また、速度は  v=α・t  より t=v/α  
光速cに達するまでの時間は、t=c/α    c=2.998x10 m  
よって、各定数に数値を代入して計算すると、 
t = (2.998x10 )(4x3.142)(8.854x10−12)(9.109x10−31){(r/e } 
t = 3.038x10−32{(4.477x10−20)/(2.566x10−38) = 5.302x10ー14 sec  となる。 
 以上の結果から、古典論に従った計算だけでも、水素原子の定常状態(n=2)にある電子の落下速度は1秒の一兆分の1よりはるかに短い時間で光速に達することが分かる。この計算結果は、その逆数が可視光線の振動数と近似していることがわかる。そこから憶測して、電子が光速に達すると輻射エネルギーを放射するのではないかという考えは、極めて妥当な発想といえるだろう。 
<注>
 ここで述べた考えは、相対論を信奉している人たちにとっては全く馬鹿げた無意味な考察である。そのため原子内の電子が光速に達する時間がこれほど短いとは本書で記載するまであまり知られていない。

12、4 原子核を回転する電子の速度 

   ボーアは複数の仮説を提案することで、原子内の構造の一部を解明するのに成功した。しかしまだ幾つかの問題点も残されている。
(1)原子内の電子の軌道には、何故定常状態が存在し、電子の数に制限があるのか明確でない。 
(2)定常状態にある電子は、加速度運動しているのに何故落下せず輻射エネルギーを放射しないのか。 
(3)電子が別の軌道に落下する際、どのように光を放射するかが分からない。また任意の定常状態から別の定常状態に遷移する際、何故互いのエネルギー準位の差に相当する振動数の線スペクトルを放射するのかも謎である。 
 ここでは、水素原子核の周りを回転する電子の速度がどの程度になるか、古典論に従って算出することにしよう。

 電子の回転速度 

水素原子核の基底状態の軌道を回転している電子の速度は次の式で表せる。
 m・v/r1 = e/4πε・r1 。
  ここで、m:電子の質量。r1:回転軌道の半径。e:素電荷。ε:誘電率。

        上記の式に各定数の数値を代入し、電子の回転速度vを算出してみよう。
      v = e/4πε・m・r1 。
         =(1.602x10ー19/(4x3.141x8.854x10ー12x9.109x10ー31x5.293x10ー11
         =2.5664x10ー38/5.364x10ー51
         =4.785x1012
       v ≅ 2.19x10 m(メートル)
 

 
 以上の結果から、水素原子核の基底状態の軌道(n=1)を回転する電子の速さが、光速に近いが光速を超えることがなく、等速円運動をしていることがわかる。即ち定常状態を回転している限り電子は光速を超えることがなく光を放射出来ないのである。そして軌道から別の軌道へ落下する時、光速を超えるため光を放射するのである。

 電子が光速時の軌道半径 

   前記の電子の速度を光速にすると、電子の軌道半径を求めることができる。以下でそれを算出しよう。
   r = e/4$\pi$ε・m・c 。
    ここで、c:光速。r:電子の回転軌道の半径。
   r = 2.5664x10ー38/(1.013x10ー40 )(9x1016
         = 2.82x10ー15(メートル)

<古典電子半径>
 現在、古典電子半径という定数が国際単位系でも公認されている。これは電子の静止エネルギー(m・c)と電荷の静電エネルギー(e/4πε・re)とが等しいとして得られる数値である。その数値を求めると、2.82x10ー15(メートル)であり、上記の電子が陽子の周りを光速で回転する軌道の半径と完全に一致する。また、この値が電子の半径ではないかと言われているが、実際のところ正しいかどうかは定かでない。そのことは多くの専門家が認めている。何故なら、現在陽子の半径はかなり正確に観測されている。それによると、
    陽子の半径=0.876x10ー15 (メートル)
であり、この値は前記の電子半径より小さい。即ち陽子は電子より小さいことになってしまい、小さい陽子の周りを大きい電子が回転してることになる。これは地球の周りを太陽が回転してるのと同じで、あまりにも不自然である。
 この古典半径は電子の大きさなどではなく、電子が陽子の周りを光速で回転する際の軌道半径と解釈する方が正しいようであっる。

<電子の半径>
 それでは電子の大きさは測定できるのか? 残念ながら、現在においても信頼できる数値は提供されていない。電子は点であって大きさを持たないなどいろいろの説があり全く未定である。


   

12、5 光の真実   

    これまで述べてきた様々な科学的根拠から、本書で主張する、絶対静止の絶対空間に対し、「物質体が光速に達した時、光を放射する」という考えは充分説得力があり、この説を認めることにより、これまで疑問に思われていた現象の幾つかを論理的にうまく説明できる。故に総合的に判断してこの主張は絶対に正しいと断言できる。そして、このことにより長期に亘り存在していた、光に関する多くの謎や疑問が雲散霧消する。例えば、粒子が絶対速度で光速を超えない本当の理由、原子の定常状態に在る電子が光を放射しない理由、光は波でもあり粒子でもあるという曖昧な解釈など。
 しかしこれまでの論考で私は、光の放射は粒子が光速に達した時で、それが光の真実であることを断言し力説して来たわけだが、残念ながら証明したわけではない。従って以下では、電子が光速に達すると何故どのように光を放射し、その姿かたちがどうなっているのかを定量的に論証し明晰化して行く仕事に取り組む必要がある。

12、5、1 光の放射   
    ボーアの原子理論から原子の構造に関するかなり正確な数値を複数得ることができた。しかし電子が別の軌道に落下する際、何故光を放射するかその物理的理由は全く説明されていない。本書では、9、重力定数の研究の章 でプランク単位系の明確な数値を提供した。そして第10章の「重力」で、エーテル大気の圧力からこの数値が正しいことを検証した。そこでプランク単位系と未知なる粒子の数値から、光の放射原理の物理的理由を探究していくことにしよう。
 前記したように、電子が定常状態の軌道から落下する際、光速に達する時間の逆数が、水素原子の線スペクトルの振動数に近似していることが分かった。また水素原子核の周りの定常状態の軌道を回転する電子が、光速に近い速さで回転しているが、光速を超えることがないことも分かった。
 これらの結果をどのように捉えるかは、いろいろ考えられるが、私は最終的に以下の仮説を提案することになる。
<仮説1>未知なる粒子が光速に達した時、累積されたエネルギーは相転移を生じ“量子ゆらぎ”として宇宙空間に放射し光速で伝播する。そしてその値はプランク単位系の量子エネルギーに一致し、大きさは未知なる粒子と同一である。放射後未知なる粒子の累積エネルギーはゼロとなる。
 即ち、光を放射する原因を考えた際、すべてをうまく説明するには、この仮説以外あり得なかったのである。さっそく未知なる粒子が光速に達した時のエネルギーの値を計算してみよう。
 累積エネルギーは m・v であるから 
   m・v =7.372x10−51(Kg)x(2.998x10(m/sec)  
       =6.626x10−34(J) 
 確かに、粒子が光速に達した時その累積エネルギーは量子エネルギーの値と完全に一致する。このことは、本仮説の正しさを証明する有利な証拠である。また、仮説1により、これまで曖昧であった輻射エネルギーの放射原理を物理的、定量的に明確化している。更に、粒子が光速を超えられない理由、電子が定常状態で回転し加速度運動していても速度は変化せず一定であるから光速を超えることがなく、原子内の定常状態の軌道を回転している電子が輻射エネルギーを放射しない物理的理由も自明となる。

 
12、5、2 電子の要素  
 さてようやく我々は、光の本当の姿を薄ぼんやりと感知出来るようになって来た。しかしこれで満足せず、光波とは何か、光の物理的構造はどうなっているのかなど、多角的な面からもメスを入れ、更に深部まで詳細にその真実を探究して行くことにしよう。 
 我々は、重量が非常に厳格であることを歴史的事実から学んできている。例えば、18世紀の科学者が、原子や分子の存在を明晰化する際、様々な化学変化に対し重量には正確な規則性があることに気付き、その方面から研究を続け成功したことなどがあげられる。また「質量不変の法則」は、核分裂により輻射エネルギーに転化しない限り絶対的に信頼できるものである。本書でも10章で、原子内での未知なる粒子間の距離と粒子の大きさの比が1016 ということを述べた。即ち重量は既存の科学技術では計り知れない程厳格であると考えているので、その方面から考察することにする。
<仮説2> 
 電子は未知なる粒子から成る構造物である。未知なる粒子の総数は、電子の質量を未知なる粒子の質量で割ることで、容易に算出できる。
(ここでは、電子の内部構造までは立ち入らない) 
 <num> = Me/Mu   <num>:未知なる粒子の総数。 Me:電子の質量。 Mu:未知なる粒子の質量。
        =9.109x10−31(kg)/ 7.372x10−51(kg) 
       =1.236x1020 (個)   

12、5、3 電子の落下速度  
  ボーアの原子理論から電子の回転軌道とそのエネルギー準位が明らかになった。そしてボーアの振動数条件により、任意の定常状態から別の定常状態に電子が遷移する際、そのエネルギー準位の差が 光量子:hν として放射されるのであることを明確にした。
これはこれで正しいのである。しかし本論では、この解釈を仮説3のように捉えるべきであると考えた。
<仮説3>
 任意のエネルギー準位に相当する回転軌道より、そのエネルギー準位に該当する振動数が一つ少ない軌道に落下するとき、電子の速度は光速に達する。
(即ち、ボーアの振動数条件を別の角度から解釈すると、仮説3が得られる)
 これを未知なる粒子の観点から考察していくことにしよう。この際、同一軌道を回転しているときは、光を全く放射しないのであるから、中心方向への落下速度だけを考慮すればよい。
(1)エネルギー準位差 
 ボーアの量子条件より、電子の回転軌道は飛び飛びの値であることが証明された。またある軌道から別の軌道へ落下する際、その軌道間のエネルギーの差に相当する振動数の線スペクトルが放射されることも実証された。 
 例えば、軌道番号n=3からn=2に落下する際は、そのエネルギー準位は 
n=2:−5.455x10−19 js
n=3:−2.422x10−19 js
であるから、その差は ΔE=3.033x10−19  
この値を量子エネルギー:Eu=6.625x10−34 で割ると、 
f=  3.033/6.625 10−19+34 =0.457x1015  
 となり、この値は明らかに水素原子のバルマー系列の線スペクトルの記号Hβと一致している。このことは、電子が1量子エネルギーに相当する分落下すると、その位置エネルギーを失った分累積エネルギーが増加し振動数1の光を放射すると解釈することもできる。
(2)光の構成要素 
 また未知なる粒子が加速され速度を増し、その累積エネルギーが量子エネルギーに達した時「量子ゆらぎ」を一つ放射することを、仮説1で明示した。そして電子は、仮説2から約1020個の未知なる粒子の構成物であるから、電子は1020個の量子ゆらぎを一つの束として放射することになる。そして電子がn=2の軌道に落下するまでの時間、振動数が 0.457x1015の光波を放射し、それが光の線スペクトルとして観測されるのである。

12、6 光の新知識  

 以上論述してきた複数の内容から、プランク単位系の世界から観察した際の「光とは何か」、「何時生ずるのか」、「その大きさは」、「その構成要素はどうなのか」など、これまで謎に包まれ未知の世界であった光の物理的特性が明らかとなってきた。このことは、本論で主張する「物質体が光速に達すると光を放射する」という主張が正しいことを明確に示しており、数学的、定量的にも証明されたものである。しかし、残念ながらこれまでの証明だけでは、不明な箇所もあり、力強さにかけていることも認めざるおえない。故に読者の幾人かはこの結論に不満を抱いていることだろう。更なる実験を伴った強力な証明力を必要としていることも私自身感じている。だがこの問題の更なる解明は極めて困難な仕事であって現状の私の能力の限界を超えている。より多くの時間を必要としているのである。
 最後にこれまで述べてきた光に関する新しい知識とその内容を列挙しておこう。

@ 未知なる粒子が絶対空間に対し光速に達すると、その粒子が内在する累積エネルギーが、量子エネルギーに一致する。
A その時、累積エネルギーは相転移を生じ「量子ゆらぎ」と成って宇宙空間に放射される。同時に未知なる粒子の累積エネルギーはゼロとなり、絶対静止状態になる。また「量子ゆらぎ」の大きさは、未知なる粒子と同一である。
B 原子核の周りを回転する電子は、任意の定常状態から別の定常状態に落下する際速度を増す。
C その時、エネルギー準位にして1量子エネルギーだけ落下すると電子の速度は光速に達する。
D 電子は、約1兆の1億倍の未知なる粒子より構成されている。
E 電子が光速に達すると電子を構成する各未知なる粒子も光速に達する。
F その際、光速に達する毎に各未知なる粒子は一斉に「量子ゆらぎ」を宇宙空間に一つの束として放射する。
G 一つの束は、1兆の1億倍の「量子ゆらぎ」より構成されている。
H 定常状態の軌道間のエネルギー準位の差に相当する振動数の光波が、落下が終了するまでの時間だけ放射される。
I 例えば、振動数1億の光波とは1秒間に1億の束が同間隔で空間を伝播している。
J 束と束の間隔が光の波長で、線スペクトルとして観測される。
K 1本の光線の断面積は、ほぼ完全に電子の大きさ(陽子の半径の約1/10〜1/100)と同一である。
 

 以上が「光の正体」と言われるものである。この内容を拠りどころに、これまで謎に包まれていた光の姿をより明晰化することが可能となるだろう。我々は光に関する詳細なデータを物理的、定量的に捉えて観察可能な手段を漸く手に入れることが出来たのである。しかし、光に関してはまだまだ未知なる謎が山積しており、本論考で得られた新知識は、ほんの一部でしかない。だが現代科学と比較したなら、確実に一歩前に踏み出したといえる。

 追記:シンクトロン(電子加速器)による光波の放射(2019年9月 )


   現在では、光波の放射装置として大規模なシンクトロンによる方法が知られている。電子をほぼ光速にに加速したのち、強力な磁場内を通過させることにより光を放射する装置であり実用化されている。しかし光速に近い電子が磁場内を通過すると何故光を放射するのだろうか。その正しい答えは現在でも見つかっていない。
 本書では、首尾一貫して「光波とは未知なる始原粒子が光速に達すると、内在する累積エネルギーが量子エネルギーに達し、沸騰爆発して量子ゆらぎを外部に放射するのである」と提唱してきた。その理論からすると容易に光の放射原理を説明できる。
 例えば、高速で直進等速で走る車両に乗せられたボールがあるとする。更にボールの外側には円形の縁が設けられている。直進している間はボールは車両内で停止しており、円形の縁から出ることがない。しかし車両が急カーブするとボールは慣性の法則により直進し、円形の縁から飛び出す。これと同様の作用が未知なる粒子内の累積エネルギーに生じる。即ち、これまで直進等速運動してきた電子が磁場内に進入した時点でローレンツ力を受け進路を急激に曲げられる。その結果内部の累積エネルギーは、未知なる粒子の膜を破って「量子ゆらぎ」として放射され光速で空間を伝播する。その1兆の1億倍の束が振動数1の光として感知されるのである。以上が正しい光の放射原理である。磁場の強さが大きいほど曲げられる角度が大きく放射される量子ゆらぎの数も増えるため、高い振動数の光波を放射する。




12、7 現代科学との関連   

   我々が一般に学んできた現在正しいと公認されている光学現象及び宇宙関連情報に関し、本論で主張しているエーテル大気理論とプランク単位系の側面から分析するとどうなるかを説明していくことにする。 
12、7、1 宇宙情報の分析  
 現代科学の進歩は著しく、特にロケット、人工衛星の発展はもとより、電波望遠鏡などの技術の向上、コンピュータ・ネットワークによる情報収集なども一段と盛んとなり、宇宙に関するデータは無限に近い情報が蓄積されている。一方では、その溢れる情報を分類、解析し正しく理解する能力に乏しいため、その大量のデータを総合的に体系化することが出来ず、多くの謎も山積している。それだけでなく、誤った原理や解釈が正しいと公認されており、その間違った認識を土台として新たな理論を展開するため、理解に苦しむ論説が氾濫してきている。このような現代科学の持つ苦悩を打破するためには、これまでとは異なった新しい理論を必要としているのである。
12、7、2 屈折の原理  
   現在知られている光学現象も多数存在する。その中でも代表的な光の現象である、屈折に関して、物理的にどのように解釈するのがより妥当であるかを考察していくことにしよう。例えば光波は媒質により何故速度が異なるのか、波長の相異により何故屈折角が異なるのか、その理由など。
(1)スネルの法則 





 スネル(1580〜1626)は、光が媒質Aから媒質Bに入射する際の法線に対する角度と、媒質内での速度との関係を実験的に明らかにする。これをスネルの法則、又は屈折の法則と呼ぶ。
  sinθa/sinθb = Va/Vb = Nab  
ここで、Va:媒質Aでの光速。Vb:媒質Bでの光速。
 このNabを、媒質Aに対する媒質Bの相対屈折率と呼ぶ。媒質Aが真空の時、絶対屈折率と呼び、Vaは光速cである。そのときの屈折率はNbで表わす。
 例えば、水の屈折率は1.333であるから水中での光の速度は、 
  Vb=c/1.333  と成る。
(2)ニュートンの見解 
 第4章の「ニュートンのエーテル」で記載したように、疑問19、20、21で光の屈折の原因に関し次のように述べている。再度同じことを書こう。
「光の屈折は、エーテル媒質の密なところから疎な部分へ押しやられるため起こるのではないか」「このエーテル媒質の密度は、星から遠く離れた物質が何もない空間ほど密で、太陽や惑星に近くなるほど疎になるのではないか」「また水中やガラスのような緻密な空間より、自由な空間のほうが密なのではないか」
(3)エーテル大気理論からの見解 
 基本的には、ニュートンの考えを全面的に支持している。即ち、真空中のようにエーテル大気が密な空間では光は速く伝播し、ガラス内部のようなエーテル大気の疎な空間では光は遅くなる。但し、ニュートンは光とは粒子であるとしているが、本論では波であると明示しているところが根本的に異なる。 
 また、物質は全て未知なる粒子より構成されていると主張しているのであるから、物質密度が高い媒質ほど未知なる粒子の数が増し、その分エーテル大気が疎となる。したがってガラスのような媒質内では光の速度が遅くなる。このことはスネルの法則を満たしている。
(4)媒質内を通過した際エネエルギーは失われない
 光が真空中から別の媒質内に入射した際、速度は遅くなっても光のエネルギーは失われることはない。このことは媒質内での光の速度は変わっても振動数は変化しないことから明らかである。因って光が媒質を抜け出し真空中に入ると、もとの光速に戻る。
(5)波長による屈折の相異 
 白色光をプリズムに当てると、複数の色に分光される。これは白色光が、複数の異なった波長を持った混合波で、媒質内では各波長によりその速度が異なるためであることが確認されている。同一の屈折率の媒質内でありながら、何故波長により速度が異なり屈折角が異なるのか。この謎に対し現代においては、光の分散方程式などにより難解な説明がなされている。しかしこの見解は物理的、論理的には明確化されたものではなく正しい解釈とはとても思えない。故にこの現象をエーテル大気理論から考察しよう。
 本論考では、未知なる粒子も量子ゆらぎも全く同一のエネルギー、大きさを有することを述べた。波長がλの一本の光線に着眼した際、その光線が媒質内部に侵入すると、その光線が通る空間のエーテル大気の量が疎となる。波長が短いほど量子ゆらぎの量が多いのであるから、その光線の空間ほど波長が長い光線の空間に較べエーテル大気がより疎の状態となる。よって波長の短い光線ほど光の速度が遅くなり屈折角が大きくなるのである。これが正しい見解である。
12、7、3 チェレンコフ放射 
    1934年ロシアのチェレンコフにより、荷電粒子(電子)が真空の屈折率より大きい物質中(水中など)を運動するとき、その物質内での光速(真空中の光速より遅い)より速くなると光を放射することが発見された。
 そして、現代科学ではこの現象に対し次のように解釈されている。「水中の電子にニュートリノなどの粒子が衝突すると電子は加速され水中内の光速を超える。しかし光速を超えることは出来ないため電子は減速する。その減速し運動エネルギーを失った分、輻射エネルギーとして空間に放射する」。しかしこの解釈が正かどうかは定かではない。
 この現象を本論から解釈すると次のようになる。
(1)媒質によりエネルギーは失われない。
 前記したように光線が真空中からガラスに入射し、再度真空中に出てきたとき、光線のエネルギーは失われていない。それと同様、媒質内を運動する微小粒子の持つ累積エネルギーも媒質内を通過する際、媒質を構成する粒子と衝突しない限りエネルギーが失われることはない。このことは媒質内と真空中との振動数が同一であることからも明らかである。
(2)速度が増しても質量は増加しない。
 媒質内の電子が媒質内(水中)での光速に達しても、電子の運動エネルギーは増加するが質量が増加したり無限大に達することはない。仮に電子の質量が無限大になったら実験装置を容易に破壊するだろう。この事実は特殊相対性理論にとって不利な証拠である。
(3)媒質内を運動する粒子の速度は、媒質内のエーテル大気の密度に依存する。
 媒質内では真空中に較べエーテル大気が疎に成っていることは述べた。そのため媒質内では真空中より光の速度が遅くなる。それと同様、粒子(電子)も媒質内の光速を超えられない。
(4)媒質内を運動する粒子(電子)が媒質内の光速に達した時、その粒子の内在する累積エネルギーは、光の場合と同様、真空中で光速に達した時と同一である。
 したがって、媒質内の光速に達した粒子を構成する各未知なる粒子の累積エネルギーは、真空中を光速に達した時の累積エネルギーと同一で、かつ量子エネルギーと一致している。 
(5)未知なる粒子の累積エネルギーが量子エネルギーに達した時「量子ゆらぎ」を放射するのであるから、粒子(電子)が媒質内の光速(正確には1秒での最大振動数)に達した時、その粒子を構成する各未知なる粒子は一斉に「量子ゆらぎ」を放射する。それが光として感知されるのである。
 以上が水中内の電子が媒質内の光速より速くなったとき光が放射される理由である。これがチェレンコフ放射と呼ばれるものである。
<明確な証拠>
 このチェレンコフ放射は、媒質は異なるとはいえ、粒子が光速に達すると光を放射することを明確に示している。これは本論の正しさを立証したものであって極めて有利な証拠である。
{追記}:光の放射に対し、正式には光速に達した時であるというのは誤りではないが正しくもなく、正確には「伝播する媒質に関係なく光の振動数が最大振動数 ν=3.701x1042 に達した時」であると解釈する方が正しい。

12、7、4 ヤングの干渉実験 
 光が波であることを実験的に最初に明らかにしたヤングの干渉実験を、プランク単位系の面から観察するとどうなるかを調べて見よう。

   





 図―12、3 に於いて説明すると、Sは単色光源、Aはついたて、距離Dだけ隔ててスクリーンBが設置されている。またAには間隔dをもって微細なスリットQ1とQ2が空けられている。
 光源Sから放たれた光線は、スリットQ1、Q2に達し、そのQ1、Q2 を光源とみなしてスクリーンBに達する。ヤングは光が波として考慮しているのであるから、各光線は強度の強い部分と弱い部分が、1波長間隔で通過する。Q1、Q2から放たれた各光線の位相は揃っているので、スクリーン上の任意の点Pに到達する。そして距離L1とL2 とが等しいか、光線の波長の整数倍の差のとき、強い部分同士が重なり合う。その結果、スクリーン上のその部分は明るく表示され、そうでない部分は暗くなる。
 また、間隔Dがスリット間dに比較し充分に長い場合は、d/D はゼロに等しくなる。そのため角 P、Q1、C は、ほぼ90度と近似してもさし障りない。よって光線の距離L1とL2の長さの差dLは次式で表わされる。
  dL=d・sinθ 。 (sinθ=dL/d より)
そして、dLが波長λの整数倍の時波同士が強め合うのであるから明るく表示される。
<プランク単位系からの考察>
 本論考では、一本の光線とは「一兆の1億倍の量子ゆらぎを一つの束として、その束が波長間隔で連続的にエーテル大気中を光速で伝播したものである」と説明しているのであるから、この面から上記の現象を解析する必要がある。
 その為には光線の強度が強い部分とは「量子ゆらぎの束」が存在する部分で、弱い部分とは「量子ゆらぎの束」が無い部分であると認識する必要がある。そしてその束は、1波長に1束だけ存在するのである。そしてスクリーン上で明るく表示される部分は、二つの光線の各束が同時に到着し干渉する場所である。即ち、光線のL1とL2の長さの差dLが波長λと一致する場所である。
 そしてスクリーン上の暗い部分は、各光線の束の部分が僅かの時間差だけ異なって到着するため互いに干渉することが無く、明るくならないのである。
12、7、5 光電効果の正しい理解  
 歴史的には、1839年にフランスのエドモンド・ベクレルが電解液に浸した二つの電極の片方に光を照射した際電流が生ずるのを発見する。この現象が光電効果に関する、最初の報告であるとされている。その後ヘルツやレーナルトにより、金属面に一定以上の振動数の光を照射すると電子が飛び出してくること、振動数が大きいほど飛び出してくる電子の運動エネルギーが大きいが数は同じであること、多量の光を当てても運動エネルギーに変化がないが、電子の数は増えることなどが明らかとなってくる。しかし、この現象を当時の科学では何故そうなるかを説明することができなかった。
 即ち、その当時光はエーテルを伝わる波であると認識されていたので、波動論から説明すると、金属面に光を当てると金属内の電子の運動エネルギーが増加する。そのエネルギーがある限界に達すると電子は金属面から飛び出すと考えられる。この考えからすると、照射の量が多いいほど電子の飛び出す量も多くなることは理解できるが、電子の運動エネルギーが振動数のみに依存してることの説明が出来ない。波動論からは、この現象を説明することは困難であった。
 1905年アインシュタインは、光量子仮説を提唱することにより光電効果の現象を解明することに成功する。彼はそれまでの光の波動論は認めつつ、光はエネルギー:E=hν、を持つ光子でもあるというのである。そうすることで確かに上記の現象をすべてうまく説明できる。即ち光子のエネルギーは振動数に比例してるのであるから、振動数の大きい光子が電子に当たったときは、飛び出してくる電子の運動エネルギーも大きくなる。照射する量が多ければ、飛び出してくる電子の量も多くなり現象結果を矛盾なく説明できる。
<光電効果に関するアインシュタインの方程式>
 アインシュタインは光が E=hν の光子であると仮定したのであるから、飛び出してくる電子の運動エネルギーは次式で与えられる。
   hν=W1+W2+Ve  
 ここでW1:電子を原子から引き離す仕事、W2:金属面から電子を放出するのに必要な仕事、Ve:飛び出した電子の運動エネルギー。
 金属内の自由電子はW1=0であるから方程式は、
   hν=W2+Ve    
 この式から、hν<W2 であるときは、電子は金属表面から飛び出すことが出来ない。
<本書の光理論からの見解>
 アインシュタインの光量子仮説では、「光は波でもあり粒子でもある」と捉えることにより光電効果の様々な現象を説明でき、現在では正しいとして一般的にも公認されている。しかし光子に関しては曖昧な点も幾つか存在する。例えばその姿、形、大きさなどが全く不明であること、また振動数により光子のエネルギーが異なればその姿、大きさも異なるはずであるが、その点には全く触れていない。光線を取り扱う際にも一本の光線の具体的数値などは全く未知のままである。
 本書の光理論では、「光とは一兆の一億倍の量子ゆらぎの束である」ことを論証した。また「量子ゆらぎ」とはエーテル大気を媒体とし伝播する波であると主張している。即ち光とは明確に波であり粒子ではないのである。 そして量子ゆらぎの一つの束が、1秒間に通過する個数が光の振動数として観測され、束と束の間隔が波長として測定されているのであると説明している。
 従って光電効果で用いた一つの光子の真の姿とは、当光理論では次のように捉えている。光子とは単位時間に通過する束の個数すべてを含んだものである。例えば振動数100の光子とは、単位時間に100個の束が金属内の電子に衝突することを意味する。そして振動数1000の光子とは1000個の束が衝突することである。従って振動数が同一ならば飛び出す電子の速度も同じであって、またその電子の運動エネルギーも振動数に比例するのは当然である。即ち光電効果の現象を矛盾なく説明できる。更に一つの束の大きさは電子のそれと同一であることを明言している。以上が現在光子と呼ばれる言葉の正しい解釈である。このことは既存の科学知識では絶対解くことが出来ない、新しくて正しい光の姿である。
12、7、6 コンプトン効果の正しい理解  
 1923年、コンプトンは炭素の結晶に単一波長(振動数)のX線を照射する実験をしていた際、変わった現象に気が付いた。X線を結晶に照射すると、結晶内の電子と衝突し反跳電子がある角度で放射され、X線は角度θをもって散乱された。散乱されたX線の振動数を調べたところ、振動数が変化(減少)していたのである。従来から知られていた理論によると、X線が電子に衝突し電子が振動した際、電子の振動とX線の振動は同じである。したがってその振動により新たなX線を放射した際、そのX線の振動数は入射X線と同じでなければならないというものであった。この理論からするとこのような現象はあり得ないことである。
 そこでコンプトンは次のように解釈した。「入射X線が粒子として電子に衝突したと考えれば説明がつく。」つまり、粒子X線が電子に衝突し、跳ね飛ばされた電子と、散乱X線粒子に分かれるのである。この解釈により、上記の光子と同様X線も粒子の性質を持つことが確実となり、現在でもこの説が主流となっている。
<本書の光理論からの見解>
 前記したように当光理論からすると、この現象は無理やりX線を粒子であると見なさなくとも全く問題なく説明できる。即ち、エネルギー E=h・$\nu$ の入射X線が電子に衝突した時、当理論によると$\nu$個の束が電子に衝突する。その時1/4・$\nu$個が電子に直接ぶつかり反跳電子の運動エネルギーに転換したとする。すると散乱されたX線のエネルギーは減少し E=3/4・$\nu$ となり振動数が小さくなることが容易に理解できる。以上より、入射X線も散乱X線も振動数が異なっているとはいえ確実に光波であって、物質粒子などではないのである。ゆえにコンプトンが考えたX線が粒子でもあるという主張は完全に誤りである。

 



  
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