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次元
単位 
次元解析 
プランク単位系 

8、次元と単位 

8、1 数値化 

   「うちの子供は背が高い」とか「走るのが速い」と言われてもあまりピンとこない。しかし「背が190センチある」とか「100メートルを11秒で走る」と言われれば、かなり正確さが増してくる。このように数値化することで感覚的で曖昧な言葉を明確化していくことが出来る。
 一般に数値化する操作には二つの方法があり、一つは自然界に個々独立に存在しており、一つ二つ三つと数えることの出来るもの、例えば石が何個あるとか、うさぎが何匹いるなど、容易に数値化できるものである。この方法はものを数える、即ち計数と呼び次元や単位を持たない。個、本、匹などは、日本語特有の呼称であって単位でははい。このように単位を持たない数を無名数と呼ぶ。
 いま一つは、一つの塊となったものを、一定の基準値の何倍か又は何分の一かで数値化する方法で計量と呼ぶ。この方法には一般に使用されているものとして、比例量と間隔量とがある。  比例量とは、物の大きさや重さを誰もが共通の認識のもと、ある基準となる重さや長さを1と定め、その何倍かで数値化する方法である。
 間隔量とは、温度や時間などのように、水が氷になる状態を0度とし、沸騰する状態を100度とし、その間隔を100等分して1度を定める方法、太陽が南中してから翌日南中する間隔を24等分して1時間を定める方法などで、ある自然現象の異なった規則的事象の間隔を何等分かし、それを基準値と定め、その何倍かで数値化する方法である。  この比例量と間隔量は次元と単位を有し、一般に物理量と呼ぶ。

8、2 次元 

   科学に使用する次元には、数学的次元と物理的次元とがあり、それぞれ異なった解釈、定義がなされているが、一般的にはあまり正確に区別されていない。したがって物理的には空間は一次元系と見做すべきだが、数学的には三次元なので、三次元空間と呼ぶのが慣例となっている。
8、2、1 数学的次元
 空間内の点を指定するのに必要な座標の数。直線上の点は1つの実数で表現できるので1次元、平面上の点は2つの実数で表現できるので2次元、立体内の点は3つの実数で表現できるので3次元と呼ばれる。n次元や無次元も考えられる。
8、2、2 物理的次元
 比例量や間隔量のような物理量と呼ばれるものの形や大きさを考慮せず、その種類だけを指定するものをその物理量の次元と呼ぶ。力学系では長さ、時間、質量の三つの次元を基本次元として選ぶことがよくあり、他の次元(圧力など)はこの基本次元で組み立てることが出来る。例えば圧力の次元は力を面積で割ったものであり、力は質量に加速度を掛けたものであり、加速度は長さを時間の二乗で割ったものであるから
  圧力=力・長さー2=質量・加速度・長さー2=質量・長さ・時間―2・長さー2=質量・長さー1・時間―2 

 となり三つの基本次元で表わすことが出来る。
 また、空間は数学的には3次元であるが、物理学的には長さの1次元系で、直線は長さの1乗(L)、平面は長さの2乗(L)、空間は長さの3乗(L)といったように表現し、右肩上の数値を次数(または指数)と呼ぶ。
 空間内の運動や速度を表わすには空間以外に時間が必要となってくるから2次元系となり、力やエネルギーを表わすには質量も必要なので3次元系となる。更に電流や電荷が加わると4次元系となる。
 国際単位系では、基本次元として下記の7種類を規定しており、その他の次元はこの7つを組み立てた次元として表わすことが出来る。
 7種の基本次元:長さ、時間、質量、電流、温度、物質量、光度。

8、3 単位 
   我々の日常生活で一般に用いられている長さや重さ、時間などの単位は、昔からその地域固有の規定に従い使用されてきた。しかし時代の流れと伴に文明も進み、国際交流が旺 盛になると、同じ長さや時間の次元を異なった単位で用いることは大変不便で、また誤解も頻繁に起こりやすく、そのような問題を少しでも解消するため、国際的に共通に使用できる単位の規定が必要であり、その重要性が高まってきた。
 現代では国際的標準化が計られ、多分野にわたり実用的なSI単位系が広く採択されている。しかし一方でこの人間中心的規定とは別に、自然界を構築しているであろう、人間を超越した真の意味での基本単位を取り扱う分野も重要であることも認識されている。そのような単位を自然単位系と呼ぶ。
8、3、1 国際単位系(SI)
 身長、距離、高さなどの物理量は、みな長さという同じ次元を持つ。このような誰でもが共通の認識のもと定めることを公理的定義と言う。現行のSIは第16回国際度量衡総会(1960年)で採択されたもので、
 長さ(m、メートル)、時間(s、秒)、質量(kg、キログラム)、電流(A、アンペアー)、温度(K、ケルビン)物質量(mоl、モル)、光度(cd、カンデラ)の七つの単位を基本単位として公理的に定められており、更に補助単位として角度(rad、ラジアン)と立体角(sr、ステラジアン)とがある。
 歴史的には、1779年にフランス政府によってメートル法が提案され、この時の物理量は長さと質量だけで、単位としてはメートルとグラムが定められた。このときのメートルの定義は「地球の子午線の4000万分の1を1メートルとする」、質量の定義は、長さの定義を用いて「一辺の長さが10センチメートルの立方体に入る水の質量を1キログラムとする」というものであった。
 その後、1875年に国際条約としてメートル法が制定され、実測に基ずいてメートル原器とキログラム原器が作成された。しかしどちらの原器も誤差があることが分かったため、1889年第一回国際度量衡総会において、原器の方はそのまま使用し、定義の方を「原器と等しい長さを一メートルと定め、また等しい質量を一キリグラムとする」と変更された。さらに長さに関する定義は、1960年「クリプトン原子が放つ橙光の波長の1650763.73倍を1メートルとする」と改定され、現在では長さの原器は使用されていない。
 質量の単位に関しては現在でも原器が使用されており、各国はパリの国際度量衡局まで行き、複製のキログラム原器を作成しなければならない。
 また時間の単位に関しては、1938年の度量衡総会で「1平均太陽日の86400分の1を1秒とする」と定義されたが、1956年には「1900年1月1日12時における平均太陽年の31556925.9747分の1を1秒とする」と改定される。その後1967年に「セシウム133原子の放射波の周期の9192631770倍を1秒とする」と改定され、現行の原子秒が採用される。
 一方電磁気学分野では上記の三元単位系では表現できない量もあるため、1881年国際電気会議によりCGS静電単位系、CGS電磁単位系及びCGSガウス単位系の三種類が提案された。4番目の単位として電気量にしたのが静電単位系、磁極の強さにしたのが電磁単位系である。電流を用いたのがガウス単位系である。
 前者は電荷に関するクーロンの法則から導いたもので、電気量を扱うには便利で磁気量を扱うには不便である。電磁単位系は磁荷に関するクーロンの法則から導いたもので、磁気量を扱うには便利で電気量を扱うには不便である。両単位系の長所を採り電気量と磁気量を対称的に扱い便利にしたのがアンペールの法則から導いたガウス単位系である。
   三つの単位系を系統的に理解するには 次の方程式から求めることが出来る。
真空中の誘電率をε、透磁率をμ、光速をc とし、アンペールの方程式の比例定数の因子として γを用いると
    c・(ε ・ μ1/2 = γ  となる。

 上式で、因子と誘電率を1とし、透磁率を光速の2乗にしたものが静電単位系、因子と透磁率を1とし、誘電率を光速の2乗にしたものが電磁単位系、誘電率と透磁率を1とし、因子を光速にしたものがガウス単位系である。
 上記の三つの単位系では、同一の力に対し三つの異なった次元(電荷、磁荷、電流)を用いることになる。これ等を整理して電流(アンペア)一つに統一したのがMKSA単位系である。
 1901年にはMKSA4元単位系が提唱され、更に1960年に第16回国際度量衡総会でMKSA単位系を基礎とした現行の国際単位系(SI)が採択される。
8、3、2 自然単位系
 通常の生活で使用するのに適したSI単位系とは別に、量子力学などの分野では、自然界を表現する最も基本的な量として自然単位系を採用している。自然単位系とは、現在知られている幾つかの普遍定数のなかでも最も基本的な光速、素電荷、重力定数、プランク定数(現在ではプランク定数を2$\pi$で割ったデイラック定数が用いられる $\hbar$=h/2$\pi$、ボルツマン定数、電子の質量などの中から複数の物理量を選び無次元の1としたものである。特に一般には、自然定数というと光速、重力定数、デイラック定数を1としたプランク単位系を指す。
8、3、3 原子単位系
 電子を基準に考え、電子の静止質量(me)、電気素量(e)、デイラック定数($\hbar$)の3つを無次元の1とした単位系で、その他ボルツマン定数、ボーア半径を1とする場合もある。主に原子や分子を扱う原子物理学の分野で利用され、重要な式を簡略化できるため実用的な単位として使用されている。
8、3、4 幾何単位系
   光速、重力定数、電荷におけるクーロンの法則での比例定数、ボルツマン定数を”1”とした単位系。特に星までの距離を表わす際、何光年という単位がよく使用される。これはご存知のとおり、光が一年間で進む長さである。この1年を1秒にしたのが1光秒である。相対性理論などで長さの単位をキロメートルでなく、光秒を用いると計算が単純化され便利なので使用されることがある。

8、4 次元解析 

 各種物理量は次元と単位を持つことは既に述べた。又、物理量の加減算は同一物理量でなければならない。すなわち質量と質量のたし算は出来るが、質量と長さのたし算は出来ない。しかし異なった物理量同士の乗除算は可能である。例えば長さを時間で割ると速さという物理量を得る。更に、物理方程式における等式の左辺と右辺とでは必ず同一次元を持つ。このような特性を利用して、次元式を作成し次元同士での演算を行い、そこに内在する物理的意味を理解しようとするのが次元解析の考えである。
 例えば基本次元として長さL、時間t、質量Mを選んだとき
 速さの次元式は  [V]=k[L・t−1・M]  表現する。
 加速度は      [α]=k[L・t−2・M]  となり、 
 力は         [F]=k[L・t−2・M]  となる。
8、4、1 次元解析の実際
(1)圧力の次元
 圧力(P)とは単位面積当たりの力であるから次元式で表わすと
  [P]=[F/L]=[L1−2・t−2・M]=[L−1・t−2・M
  またエネルギーは力掛ける長さであるから、基本次元で表わすと
  [E]=[F・L]=[L・t−2・M
 そしてエネルギーを圧力で割ると
 [E/P]=[L2−(−1)・t−2+2・M1−1]=[L・t・M
   [P]=[E]/[L]  となる。
 以上の結果から、圧力とはエネルギーを体積(L)で割ったもの、即ち単位体積あたり内のエネルギーの量を表わしていると解釈することができる。このような解釈は一般にはあまりなされていないが、物理的な理解を深める際には重要になることもある。
(2)重力定数(G)の次元
 物体同士の力の方程式は 
 F=G・{M・m/L}=重力定数・{物体Aの質量・物体Bの質量/物体間の距離
この式からGの次元式は
  [G]=[F・L・M−2]=[M・α・L・M−2
                 =[α・L・M−1]  ・・・・ G式
                =[L・t―2・L・M−1]=[L・M−1・t−2
   となり、通常はこの最終的に得られた[L・M−1・t−2]の次元式が使用されている。 しかし本書では上記の途中で現れたG式に関し非常な興味を抱いた。即ちこの式を説明すると
       重力定数={加速度・長さ}/ 質量
となり、更に     ={粒子表面の重力加速度・粒子の半径}/粒子の質量
とも解釈できる。

<注>このような解釈は、私の知る限り筆者が最初である。この重力定数の物理的意味に関する詳細は、9章の「重力定数の研究」及び10章の「重力」において更に詳しく説明する。
8、4、2 プランク単位系を求める
 ここでは、前記したプランク単位を三つの基本的な普遍定数である、光速、重力定数、デイラック定数($\hbar$]=h/2$\pi$を用いて求める具体的な計算方法を紹介しよう。まず各普遍定数の数値と単位を示す。単位はSIで認められているMKSA単位系を採用する。
  真空中の光速  :c=2.99792458  ×10   m・s−1
   重力定数     :G=6.673        ×10−11 m・kg−1・s−2
  デイラック定数  :[$\hbar$]=1.054571596  ×10−34  m・kg・s−1
そして次に、光速に対する各次元の指数をX、重力定数の各次元の指数をY、デイラック定数の各次元の指数をZと置き、三つの基本単位の指数に関する三つの方程式を求める。
長さ: X+3Y+2Z ・・・光速の長さの指数は1なのでX、重力の長さの指数は3なので3Y、デイラックの長さの指数は2なので2Zとなる。以下同様に、
質量: 0X−Y+Z
時間: −X−2Y−Z
(1)プランク長を求めるには長さ=1、その他を0として、連立方程式を作る。
     X+3Y+2Z=1、−Y+Z=0、−X−2Y−Z=0。
この3元連立方程式を解くと 
 X=−3/2,Y=1/2,Z=1/2  を得る。
よって、プランク長:Ld =c−3/2・G1/2・[$\hbar$]1/2 
    この式に各普遍定数の数値を代入すると  Ld=1.616 ×10−35 m
(2)プランク質量を求めるには質量=1、その他を0とする。
 X+3Y+2Z=0、−Y+Z=1、−X−2Y−Z=0。
この3元連立方程式を解くと 
 X=1/2,Y=−1/2,Z=1/2  を得る。
よって、プランク質量:Md =c1/2・G−1/2・[[$\hbar$]1/2
     この式に各普遍定数の数値を代入すると  Md=2.1767 ×10−8 kg
(3)プランク時間を求めるには時間=1、その他を0とする。
X+3Y+2Z=0、−Y+Z=0、−X−2Y−Z=1。
この3元連立方程式を解くと 
 X=−5/2,Y=1/2,Z=1/2  を得る。
よって、プランク時間:td =c−5/2・G1/2・[[$\hbar$]1/2
     この式に各普遍定数の数値を代入すると  td=5.3906 ×10−44 s
(4)プランクエネルギー 
 アインシュタインの方程式:E=m・c 及びプランク質量:Mdより
 Ed=2.1767×10−8 ×(2.998×10=1.956 ×10 J
 ここで Jはジュール。
(5)プランク温度 
 E=kb・T  より 
 Td=Ed/kb   kb:ボルツマン定数 
  =1.956×10 /(1.381×10−23)=1.416 ×1032 K
 ここで Kは絶対温度。

   

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