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17、4 マックスウェル方程式 

   電磁気に関する様々な現象や基本的な法則を、ファラデーの力線の考えを基礎としてマックスウェルが総合的に構築し提案し、4つの方程式として定式化したモデル。マックスウェル曰く「自分はファラデーの考えを数学的な形式に置き換えただけである」。
 方程式の解釈の仕方には現在では微分形式と積分形式の場合が知られており、本書では両方の場合について説明する。

17、4、1 第1方程式:電気に関するクーロンの法則 
 マックスウェルは、電気に関するクーロンの法則が何故成立するのか、理論的に解明することを考えた。その結果、電荷とは電気力線が湧き出る点で、そこから電界が発散すると想像したようである。
 *第一方程式ーー<電界Eの発散>: div E =q/ε。 ここで div(divergence);発散。E;電界。q;電荷。ε;誘電率。

(1)クーロンの法則
 <互いが受ける電気力はそれぞれの電荷の積に比例し、電荷間の距離の二乗に反比例する。>
 <それぞれの電荷の符号が同一であれば斥力で、異なっていれば引力である。>
 電気力:F= q1.q2 / 4$\pi$εr。(式17ー4ー1)
 電界(電場):E= q1/ 4$\pi$εr。(式17ー4ー2)。  よって F= E・q2。
(2)第一方程式の解釈
 第1方程式では電気力より電場に重点が置かれている。また電気力線の強さは距離の二乗に反比例するものであるとしている。電荷(q1)のみが存在する場においては、電荷に作用する電気力はゼロであり、また電荷を有さない物質があってもゼロである。しかし、電荷(q2)を持つ物質が存在する際は、距離rの二乗に反比例した電気力が作用する。つまり、電荷からは常時電気力線が湧き出ており電荷を有する物の周りには必ず電界が存在することと、電界が存在する場に他の電荷が接近した時は電気力が作用するということを表現している。
(3)ガウスの法則
 <任意の閉曲面に囲まれ、その内部にある電荷の量が一定ならば、内部から閉曲面を通る電気力線の総数は同じである。>
 第1方程式はこのガウスの法則からも導出できる。
 \[\int_{s}Eds=\int_{V}qdV\]    ここで、S;面積。 V;体積。 
(4)ガウスの法則からの解釈
 任意の閉曲面の大きさ、形状にかかわらず、その体積内に存在する総ての電荷より湧き出る電気力線の総数は、閉曲面を通過する電気力線の総数に等しい。即ち、閉曲面が完全球であるとき、体積内に存在する電荷が単一か複数かどうかに関係なく、電荷の量が一定ならば、単位面積あたりを通過する電気力線の数は半径rの二乗に反比例する。これはクーロンの法則と等しいことを示している。
 

17、4、2 第2方程式:磁気に関するクーロンの法則 
 マックスウェルの時代には電荷も磁荷も架空の想像物で、同レベルで取り扱われていた。しかし様々な現象から二つの大きな相違があることも知られていた。
@ 電荷はプラスとマイナスとは別々の物体に存在し、単独で移動できるが、磁荷は必ずN極とS極が対となっており、単独での存在はあり得ない。
A 電気力線は電荷の周りに必ず存在するが、磁石や磁力線は電荷の流れ、または回転運動により作られる、
 現在では電子や陽子の発見により電荷が実在することが知られており、また磁荷の存在は否定されている。したがってここでは、近年の知見即ち磁荷ではなく磁極を採用し説明していく。
*第二方程式ーー <磁界Hの発散>: div H = 0。 ここで  H;磁界。 

(1)磁気に関するクーロンの法則
 <磁極m1とm2が距離rだけ離れて置かれたとき、互いに及ぼす磁気力Fは次のように表せる。>
磁気力: F = m1・m2 / 4$\pi$μr。 ここでμは透磁率。m1、m2;磁極。
磁界:  H = m1 / 4$\pi$μr
(2)第二方程式の解釈
 電気と磁気の場合の法則を比較すると、電気の場合の電荷に対し磁気の場合は磁極になっており、それ以外はほとんど同じであることが分かる。それに反し第二方程式では右辺が =0 となっており、磁極の無い空間にもかかわらず磁力線が湧き出て発散するとなっている。第一方程式の場合は、電荷の周りに電気力線が湧き出しており理解しやすいが、磁極もない空間から磁力線が湧き出るというのは理解しにくい。
 これを理解するには電荷と磁極の相違を思い出すとよい。即ち、電荷は単独でも実在するが、磁極は必ずN極とS極が対になっており、N極から発散された磁力線はS極に吸収され差し引き =0 になることを意味している。
(3)ガウスの法則
<任意の閉曲面に囲まれ、その内部にある磁極の量が一定ならば、閉曲面を通る磁力線の総数は一定である>
\[\int_{s}Hds=\int_{V}mdV \]  
(4)ガウスの法則からの解釈
 電気の場合と同様に考える。即ち、ある閉曲面を考えた際、その体積内に存在する磁極から湧き出る磁力線の総数は、閉曲面を通過する磁力線の総数に等しい。ただし磁極の場合は必ずN極とS極が対で存在するのであるから磁力線は相殺され =0 となる。

\[\int_{s}Hds=0\]  
17、4、3 第3方程式:ファラデーの相互誘導の法則 
 ファラデーはエルステッドが発見した電流により磁場が誘導されるのであれば、その逆に磁場の変動により電流を誘導できるのではないかと考え実験を行い、相互誘導の法則を発見した。マックスウェルはその考えを更に飛躍し、第三方程式として提唱する。
*第三方程式ーー<電界の回転>: rotE = dH/dt 。ここで、rot(rotation); 回転 。t;時間 。
 この方程式から、磁界の時間的変動から渦状の電界が誘導されることが分かる。図17−1(3)を参照。
(1)相互誘導の法則
<電線に磁場を接近すると、電線内に電流が起こる。磁場を一定にすると電流は停止する>
   ファラデーは図17−1(4) のような実験を行い、コイル1にスイッチを閉じるとコイル2に電流が流れるのを確認した。そして次のような方程式を提唱する。
i = dH/dt 。 i;電流 。
(2)第三方程式の解釈
 マックスウェルはファラデーの方程式を更に進化させる。即ち、色々な実験(例えば、図17−1(3))から磁場の変動により渦巻き状に電流が誘導されるとも解釈できる。またその当時は電流とは電気力線の移動と捉える研究者も存在しており、従ってこの現象を電場が渦巻き状に誘導されると解釈出来、第三方程式を導出する。
(3)積分形式
 また図17−1(7)、から閉じられたコイル内の磁力線の変化に比例して、コイル内を流れる電気力線の総量は、電線の長さを積算した値に等しいことが分かる。したがって第三方程式は電線に沿った積分形式でも表すことができる。
  \[\int_{L}EdL=\frac{dH}{dt}\]
17、4、4 第4方程式:アンペールの法則 (右ねじの法則)
 エルステッドの実験により発見された、電流の周りに磁場が誘導されるという有名な現象である。図17−1(1)を参照。
 アンペールは上記の現象を、更に厳密且つ多くの観察と実験を重ね法則として発表する。マックスウェルは、更に己が主張する変位電流とを組み合わせ、第四方程式として提案する。
*第四方程式ーー<磁界の回転>: rotH = i +i2 。 ここで i2;変位電流 。
(1)アンペールの法則
<電線の周りに渦状に誘導される磁界Hの強さは、電流i に比例し、円周の長さ 2$\pi$r に反比例する> 。ここで、r;電線の中心から磁力線までの距離。
  i=2$\pi$r・H 
(2)第四方程式の解釈
 電線内に電荷が流れると、電線を中心に流れる方向に向かって右回りの磁力線が渦状に誘導される。その時の磁力線の強さは、電流の量に比例する。また、変位電流も電荷の移動であるから同様に磁力線が誘導される。
(3)積分形式
 アンペールの法則より、流れた電流の総和は誘導された磁力線の任意の点の強さに、円周の長さL を積算したものであることが分かる。したがって第四方程式を積分形式で表すと次のようになる。
\[\int_{L}HdL=i+i2\]  
 



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