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4、4 マイケルソン、モーレの実験 
 前述したように、19世紀中ごろには多くの実験事実から、絶対静止のエーテルが宇宙空間を満たしていることが一般にも認識されるようになってきた。しかし多くの謎も存在し、解決には困難を極めていた。
   そのような時期、1885年、マイケルソンとモーレが、マックスウェルが指摘した絶対静止のエーテルの存在を立証するため、大規模な実験を行う。その当時は、音波は空気を媒体とし音速(空気が均質で静止していると仮定した場合)で伝播するものであり、光波はエーテルを媒体として光速で伝播するものであると、一般的に公認されていた。したがって、エーテルが絶対静止であれば、音波の時と同じ原理、法則が成立するものと推察するのは妥当であろう。




 図について説明すると、光源Qから出た光は半透明鏡Mで、地球の進行方向とその水平方向に分かれる。そして進行方向には鏡Aが、水平方向には鏡Bが置かれ、光源から放射された光はAとBに反射されMに戻って来る。
(1)a図から 進行方向に進んだ光は、速度:VA=c−V  (ここでcは光速。) で反射鏡Aまで進む。光がMからAに着くまでに要した時間は、
  \[T_A=\frac{L}{c-V_E}\] となる。
Aで反射された光は速度:V‘ =c+VE で半透明鏡Mまで進む。そのとき要する時間は、
\[T'_A=\frac{L}{c+V_E}\]  
故に、光が半透明鏡Mから出てMに戻って来るに要した時間は
\[T"_A=T_A+T'_A=\frac{2Lc}{c^2-V_E^2}=\frac{2L}{c} ・\left(1-\frac{V_E^2}{c^2}\right)\] となる。
(2) b図から Mから出た光が水平方向の鏡Bに着くまでの時間は、
\[L_1=\left\{\left(T_B\times V_E \right)^2+L^2 \right\}^\frac{1}{2}\]   であるから、
\[T_B=\frac{L}{c}\] より
\[\left(c\times T_B\right)^2=\left(T_B\times V_E\right)^2+L^2\] \[T_B^2\left(c^2-V_E^2\right)=L^2\] 以上から  \[T_B=\frac{L}{c}\left(1-\frac{V_E^2}{c^2}\right)^\frac{1}{2}\] 同様に、鏡BからMに光が進む時間は、L1とL2は同じであるから、Tと同様である。
故に、光が半透明鏡Mから出てMに戻って来るに要した時間は 
\[T_B=2\frac{L}{c}\times \left(1-\frac{V_E^2}{c^2}\right)^\frac{1}{2}\]   となる。
(3)以上からT"とTの時間差を求めることが出来る。その時間差の比は、
 V:30Km/秒。 c:30万Km/秒 。であるから、
\[\frac{T_A^"}{T_B}=  \left(1-\frac{V_E^2}{c^2}\right)^\frac{1}{2}=\left\{1-\left(\frac{30^2}{300000^2}\right)\right\}^\frac{1}{2}\]   ・・・となり、この値は約 10−8   なので観測可能な精度であった。
 そして T"/T<1 であるから、進行方向の光の経路は、水平方向の光の経路より短いことになる。これは音波の場合と同様に類推できる。一点から発せられた光に対し、光源に接近する場合と、遠去かる場合と同様に考えられ、光のドップラ効果が生ずるはずである。即ち光の速度が同じなら、その波長にズレが生ずるはずである。
  (4)観測の結果は、全く時間差が生じない、即ち波長の位相差が生じないという大方の予測とは正反対のものであった。このことは 光のドップラー効果は光源の速度には影響されないことを意味している。また絶対静止エーテルの存在を怪しくするものでもある。その半年後、地球の速度が反対向きになる時期に同じ実験を行ったが同一の結果を得る。
 この実験事実をどのように分析し解釈すべきか、「地球が中心不動の天動説を認め、地球の実際の速度が常に速度 V=0 (静止)で公転してない」と解釈すれば、即ち横方向も縦方向もV=0とみなせば正当化できる。しかしこの見解は、地動説が公認され地球の公転運動を知っている現在科学に於いては、あまりにも馬鹿げている。
(5)ローレンツ短縮
 この観測結果に対し、その当時の科学者たちは様々な意見を提唱した。実験を行ったマイケルソンは多分地球の運動に対しエーテルも引きずられ一緒に移動するためだろうと考えた。しかし、ローレンツやフィッツジェラルドなどは、地球の進行方向に対し長さが短縮されるのではないかと考えた。さらには時間さえ短縮されるかもしれないと述べている。このような説の詳細に関しては「相対性理論」の章で記載する。
 他の解釈としては、光源である星の速度により光の波長が変化することがないことであり、光波は音波と異なり光源の速度によりドップラー効果が生じないことを実証している。すなわち同一時間で光波は異なった距離を移動したのであるからその波長に位相差が生じて当然である。しかし実験結果は位相差が生じなかったのである。このことは現在正しいと公認されているビッグバンモデルにおける光のドップラー効果(赤方偏移)の解釈は誤りであること証明しており、ビッグバン理論をあやしくするものでもある。

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